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openSUSE 42.3 リリース情報 edit
openSUSE Leap 42.3 は、 Leap 42 シリーズの第 3 版となります。本バージョンには、 10,000 種類以上のパッケージが用意されているほか、安定性を重視するユーザに対して、一新された環境とハードウエアへの対応を提供しています。 SUSE Linux Enterprise 12 Service Pack 3 からもたらされた中枢部のソースコードにより、本リリースにはさらに多くのパッケージが追加され、汎用的なパッケージのいくつかは同期されるようになりました。
openSUSE Leap 42.3 は主に、安定性を重視する方々や熱心なソフトウエア開発者に向けて作られています。いくつかのパッケージについては Leap 42.2 と Leap 42.3 で同じものになっていますが、ご利用される方々に対して新しい機能を提供するための更新が数多く用意されています。このように、 openSUSE Leap 42.3 における安定性と共有された中枢部の仕組みにより、システム管理者や開発者、デスクトップのユーザに至るまで、高品質で十分にテストされた Linux を提供できるようになりました。
openSUSE Leap が、何ゆえにコミュニティとエンタープライズの両方の特長を持っているのかを、ご自身でご確認ください。
Leap 42.3 のダウンロードについては、 software.opensuse.org をご覧ください。また、インストールの前に、リリースノートをお読みになることをお薦めします。
機能ハイライト edit
openSUSE Leap 42.3 は...
openSUSE Leap が SLE (SUSE Linux Enterprise) をベースにするようになって以降、 Leap 42.2 ではさらなるコード統合が図られるようになりました。 Leap 42.3 でも同様に、 SLE 12 SP 3 からさらなるパッケージ統合が行なわれ、汎用的なパッケージのいくつかは同期されるようになりました。 Leap 42.3 では論理ボリュームマネージャの設定や利用のためのツールが用意されているほか、 UEFI ファームウエアイメージの処理や抽出、修正などのツールも用意されています。このほか、コンパイルやリンク、実行やアイドルタイムの最適化を行なうための、低レベルの仮想マシン機能のようなパッケージも用意されています。 openSUSE Leap 42.3 ではソースコードが共有されていることから、 openSUSE のコミュニティと SUSE のエンジニアの両方から、メンテナンスやバグ修正を受け取ることができます。
openSUSE Leap 42.3 では、インストール時にサーバ用の選択肢が表示されるようになりました。サーバを選択するとグラフィック環境はインストールされませんので、サーバとして使用するのに無駄のない構成になっています。たとえば、ここから Web サーバやメールプラットフォームなどをインストールすれば、以前よりも簡単に仮想化環境やコンテナ技術の配下に構築することができます。また、 Leap (および以前のバージョン) を含むすべての openSUSE や SLE ディストリビューションには、 テキストモードのインストーラ が用意されています。テキストモードといってもグラフィカルな (通常の) インストーラと機能面で違いはなく、 X ウインドウシステムを使用せずにすべての作業を行なうことができるようになっています。このほか、インストーラは VNC や SSH を介して、リモートから実施する 機能もあります。これにより、近くにあるマシンであればどんなマシンにでも、 openSUSE Leap サーバを構築できるようになっています。
Plasma 5.8 と GNOME 3.20 は、従来通り Leap で提供されていますし、それ以外のデスクトップ環境も選択することができます。 Leap 42.3 では、 KDE Plasma 5.8 の長期サポートリリースを採用しているため、優れた信頼性と安定性のある KDE 環境を利用することができます。 GNOME の 3.20 (Delhi) リリースは、安定性だけでなく有用性やアクセシビリティの面でも素晴らしいものに仕上がっています。これらのデスクトップは、いずれも一貫したなじみやすさをもたらしています。
Leap 42.3 では、以前のバージョンと同様に 4.4 LTS Linux カーネルを採用しています。ただし、 4.4 カーネルでもマイナーバージョンが 70 以上にもなっているところからもお分かりのとおり、 ARM や ARM64 (AArch64), PowerPC (PPC) などのハードウエアアーキテクチャに対して、様々な改善が図られています。もちろんスタックガードの改善のほか、スタックガードのギャップサイズを増やすことで攻撃の可能性をできる限り減らす措置も適用済みです。
開発者向け
openSUSE Leap 42.3 には Docker 1.12 が同梱されています。このバージョンは 最新の runC および containerd を採用した Docker であり、 Docker Swarm などの最新のオーケストレーション機能を提供しています。 Docker コンテナとツールを利用することで、劇的なまでに簡単に、かつ高速にアプリケーションを構築し、配置できるようになります。また、本リリースは Flatpak と呼ばれる、 ソフトウェアデプロイメント 向けの ユーティリティソフトウエア であり、 パッケージ管理 、 Linux 向けの アプリケーション仮想化 の仕組みでもあるソフトウエアを同梱した、初めてのリリースでもあります。この仕組みでは、 サンドボックス 環境を提供しますので、他のシステムに影響を与えず、完全に独立した形でアプリケーションを実行することができます。
Leap 42.3 では Qt 5 GUI ツールキット (5.6) LTS という成熟したバージョンを採用しています。 Qt 5.6 では Qt フレームワークやサードパーティ製のライブラリ内に存在していた、致命的ではないセキュリティ修正が追加されています。また、アプリケーション内で初めて印刷ダイアログを表示する際に追加すべき遅延も設定されています。ネットワーク上の印刷キューを利用しない場合、このような遅延は不要のものでもありますので、不要であれば /etc/environment 内で QT_DISABLE_PRINTER_DISCOVERY 環境変数に 1 を設定してください。 GTK 3.20 は SUSE Linux Enterprise 12 SP3 と共有されているバージョンで、 gtk ベースのアプリケーションを構築するための堅牢で安定したツールキットです。 GNOME Builder は C, C++, Vala の各言語をベースにした GTK アプリケーションを構築するためのパワフルな汎用 IDE だけでなく、他の言語を追加して使用することもできるようになっています。また、コンパイルの用途としては、 Leap 42.3 では gcc 4.8.5 を既定のコンパイラとして提供しています。必要であれば、gcc 5.3.1, 6.1.1, 7.1.1 の各バージョンを利用することもできます。
openSUSE Leap 42.3 には、古いものから新しいものまで、様々なプログラミング言語が用意されています。 Go 1.6.2, Python 2.7, Ruby 2.4, Perl 5.18 の各バージョンは、いずれも Leap 42.3 で利用可能です。本 Leap リリースには、より新しいメジャーバージョンのライブラリも用意されています。たとえば libvirt 3.3.0 では、データのバッチ処理の機能が追加されているほか、ゲストのネットワーク性能を改善する機能が含まれています。パッケージマネージャの機能も libzypp (16.12) により改善されています。このほか、新しい GNU C ライブラリでは、 Power 9 環境にも対応するようになりました。
システム管理者向け
openSUSE Leap 42.3 は仮想化ソリューションに完全対応しています。 QEMU 2.9 は極めて高性能な CPU エミュレータであり、異なるアーキテクチャのシステムに対して、全体のエミュレーションからユーザスペースバイナリ単体の実行まで、様々な用途に利用することができます。また、 VirtualBox 5.1.18 では Leap 42.3 で API の変更のための修正が適用されています。このほか、 openSUSE Leap 42.3 は、アプリケーションを配布するにあたっての完璧なベースシステムでもあります。これは、 YaST によってセットアップが簡単になっているためです。システム管理者は、 openSUSE Leap 42.3 を利用することで、素早くかつ簡単にソリューションを配置することができます。また、本リリースではシステム管理者に対して、簡単で信頼のできるコンピュータシステムの操作方法を複数提供しています。 Docker や LXC を利用すれば、 Leap で Linux コンテナを作成したり管理したりするのも簡単ですし、お使いの Linux コンテナのイメージを openSUSE の Portus プロジェクト で制御することもできます。
YaST 開発スプリントの活動により、 openSUSE Leap 42.3 には大量の改善点が追加されています。 YaST コミュニティでは有用性を改善するための活動を活発化させているほか、 Tumbleweed や Leap に対する新しいツールやモジュールなどの追加も行なっています。改善点としては、例えば EFI システムでも利用できる Trusted Boot 機能の設定や使用への対応のほか、ネットワークインストールの新しい方法や YaST パーティション設定の機能拡張、 systemd サービスとのよりよい統合などが含まれています。 最もわかりやすい変更としては、インストール時点でのデスクトップの選択画面の改善があります。 KDE や GNOME という選択肢だけでなく、すべてのグラフィカル環境を公平に選択できる環境を用意しています。インストーラでは、あらかじめ決められた "第二の" デスクトップ環境を選択するようなことはなく、各グラフィカル環境をよく知るユーザが作成し、メンテナンスしているパターンを利用してインストールするようになっています。そのため、 "実施する人が決める" やり方に従って、デスクトップも選択するようになっています。 AutoYaST はより強健で、パワフルかつ分かりやすい仕組みへと進化しています。多くの環境でより高速にインストールできるようになっているだけでなく、パーティションサイズなどを自動設定した場合のレポート機能の改善や、サービスの管理を AutoYaST の第 1 ステージへの移動により、より柔軟なシナリオを提供する可能性を開いています。 AutoYaST の新しい仕組みとしては、 SaltStack との新しい統合や、 Leap ファミリに新しく追加された yast2-configuration-manager パッケージによる、他の設定管理システムへの対応が挙げられます。 AutoYaST では、システムのインストール (パーティション設定、ネットワークの設定など) に際して様々な処理を行ない、幅広く使用されている外部ツールを介して、システムの設定を代理するようになっています。
openSUSE Leap 42.3 では Samba 4.6.5 が提供されています。セキュリティリリースである 4.6.4 では、悪意のあるクライアントが書き込み可能な共有に対して共有ライブラリをアップロードすることで、サーバ側でそのコードを読み込んで実行してしまうような、リモートコード実行の脆弱性を解決しています。 Systemd 228 は Leap 42.3 でも従来通り提供されていますが、メモリリークなどの修正が追加されているほか、 openSUSE の技術を利用したロールバック機能への対応も含まれています。 MariaDB 10.0.30 と Linux のバイナリ tar ボールでは、該当するファイル名のディレクトリに常に展開する機能が追加されています。 MySQL のバージョン 5.6.36 では thread_pool のプラグイン性能が強化され、接続時の認証や初期化の処理が受付スレッドからクライアントからの接続を処理するスレッドプールのワーカースレッドに移動されています。 なお、 openSUSE Leap では、従来通り差分 (Delta) RPM をすべての メンテナンス更新 に提供しています。これにより、 Leap のシステムを更新する場合であっても、長期間にわたって帯域を占有してしまうような問題を起こさないようになっています。
ユーザ向け
openSUSE Leap 42.3 では、 KDE のフラッグシップソフトウエアである Plasma の長期サポート (LTS) 版を採用しています。 Plasma 5.8 LTS は openSUSE における既定のデスクトップ環境で、機能が豊富なだけでなく、安定した性能をも提供しています。新しくなった Plasma 5.8.7 では、新しい翻訳と修正を取り込んでいます。タッチスクリーンの修正のほか、改善されたアイコンなどを openSUSE Leap 42.3 の KDE デスクトップで利用することができます。また、 KDE では Google Drive との統合 (kio-gdrive) が行なわれ、 Dolphin だけでなく、 KDE のファイルダイアログからクラウド内のデータにアクセスできるようになっています。アカウントを設定するには、 kio-gdrive パッケージをインストールしたあと、 Dolphin を開いてネットワークフォルダを選択し、 Google Drive を選択して "New account" を選ぶだけです。これにより、サイドパネル内に Google Drive が新しい場所として追加されますので、すべての KDE アプリケーションから簡単に利用できるようになります。 Plasma 5.8.7 向けのバグ修正は、小さいながらも重要なもので、ユーザ管理やシステム設定、オーディオの音量制御やワークスペースなどに対して修正を行なっています。また、 Leap 42.3 で改善された Plasma を利用することで、 システム管理者がマシンを Kiosk 化する (英語) こともできます。詳しくは Plasma 5.8.7 のリリースノート (英語) をお読みください。
GNOME 3.20 は openSUSE Leap 42.3 でも引き続き提供されている、もう 1 つのデスクトップ環境です。 GNOME の安定性により、プライバシー制御によるアプリケーションごとの位置情報のアクセス制御のほか、シェルからのメディアコントールへの直接アクセスや、キーボードショートカットやジェスチャーによる新しいショートカットオーバーレイウインドウなども簡単に設定することができます。多くの GNOME アプリケーション、例えば Files, Videos, gedit, Builder, Maps などには、 3.20 向けのショートカットウインドウが用意されています。各アプリケーションでは、ショートカットウインドウをアプリケーションメニューから開くことができるほか、 Ctrl+/ や Ctrl+F1 のショートカットでも開くことができます。また、 openSUSE Leap 42.3 の GNOME では、 Files アプリケーション内から Google Drive を直接開くこともできます。詳しくは GNOME 3.20 のリリースノート をお読みください。
openSUSE Leap 42.3 では、様々なデスクトップを選択することができます。これには MATE, Xfce, Enlightenment, Cinnamon などが含まれています。なお、ユーザエクスペリエンスの改善が図られている LXQt 0.11.0 は従来通り openSUSE Leap 42.3 に同梱されていますが、インストーラからは選択することができません。あらかじめご了承ください。
本 openSUSE リリースでは、 Weblate を利用して 50 種類以上の言語に openSUSE の翻訳を行なっています。 openSUSE の Weblate インターフェイスは誰にでも (専任の翻訳者から、ちょっとだけ参加される方々まで) 利用できる仕組みになっていて、 SUSE Enterprise Linux の翻訳と合わせて、 openSUSE の翻訳作業を簡単に行なうことができるようになっています。これにより、コミュニティとエンタープライズの双方向の対話を加速することができるようになっています。
リリース edit
- ローリングリリース
Tumbleweedローリング - 現在の定期リリース
openSUSE Leap 15.6安定版 - 以前の定期リリース
openSUSE Leap 15.5以前の安定版
スクリーンショット edit