SDB:少ないメモリ環境でのインストール
目次
少ないメモリ環境のシステム
100MB 未満の環境の場合
このような環境の場合、インストール起動後に 'moving into tmpfs' と表示されたあとにメモリを使い果たしてしまい、カーネルパニックが発生します。これを回避するには、起動時のコマンドライン (Linuxrc) に '_tmpfs=0' を追加します。なお、 '安全設定' でのインストールを行なう場合は、左記の入力を末尾に追加してください (既存の項目とは ' ' で区切ってください) 。また、特定のスワップ領域を使用したい場合は、次の章をお読みください。
これはBIOS側の仕様制限によるもので、日本語のみで使用するキーの入力をとらえることができないために発生します。
このような場合は、いったん言語を "English (US)" などに切り替えて入力し、入力完了後に言語を日本語に戻してください。
ごく少ないメモリしか搭載されていないシステムの場合、インストール完了後のシステムも 極端に 遅いものとなってしまいます (見た目は 酷く 緩慢に見えるものと思われます) 。 KDE や GNOME などの代替として XFCE や LXDE のような軽量ウインドウマネージャを利用しても、高速化はあまり期待できません。テキストモードであればなんとかなるかもしれませんが・・
それ以外の代替案としては、このようなハードウエアに向けて作られた特別なディストリビューションを使用する方法もあります。たとえば:
なお、 '_tmpfs=0' はどうしても必要な場合 (たとえばカーネルパニックが発生するような場合) にのみお使いください。
100MB 以上 384MB 未満の環境の場合
このような環境の場合、 テキストモードでのインストール を選択したあと、スワップ領域を用意することで回避することができます。DVDから起動してテキストモードでのインストールを選択し、「ようこそ」画面が表示されている段階で、下記の手順でスワップ領域を作成および利用してください:
- まずはコマンドプロンプトに移動します (Alt-F2 または Alt-F9 などで移動できます) 。
- スワップ領域を作成していない場合は、下記の手順を実施します:
- fdisk コマンドを利用して既存のパーティションを削除するなどし、 100MB 以上 500MB 程度までのサイズでパーティションを作成します。
- fdisk コマンドでパーティションを作成したら、パーティションのタイプを 'linux swap' (82) にします。
- パーティション情報を保存して終了します。
- 新しく作成したパーティションを 'mkswap /dev/sda1' (デバイス名は適宜変更してください) でフォーマットします。
- fdisk コマンドを利用して既存のパーティションを削除するなどし、 100MB 以上 500MB 程度までのサイズでパーティションを作成します。
- 'swapon /dev/sda1' (デバイス名は適宜変更してください) でスワップ領域を有効化します。
- Alt-F1 (テキストモードの場合) または Alt-F7 (GUI の場合) を押して YaST に戻ります。
128MB 以上のメモリを搭載していて、 100MHz Pentium プロセッサ以上の環境であれば、 XFCE や LXDE などの軽量ウインドウマネージャがお使いいただけます。もちろんメモリが多いことに越したことはありませんが・・
使用するメモリ量の削減方法
テキストモードでのインストール
テキストモード (ncurses) を利用してインストールを行なうと、グラフィカルモード (qt) に比べて 10MB ほどメモリを節約することができます。テキストモードでのインストールを行なうには、起動時に F3 キーを押して選択するか、 起動時のコマンドライン (Linuxrc) に下記を追加します:
textmode=1 vga=XXX
ここで、 XXX には VESAのモード値(Linux用)を入力します。たとえば800x600ドット 256色で表示させたい場合は、 771 と入力します。それ以外の設定については、 VESA BIOS Extensions をお読みください。
ルートイメージのディスクへの配置
インストーラである YaST とその支援ツール類は、圧縮されたファイルシステム内に存在し (具体的には /boot/ARCH/root にあります) 、それは 70MB ほどの領域になっています。
インストールで HTTP や FTP などを利用すると、それらはメモリ内にコピーして使用することになります。
上記のメモリは、 DVD を利用してインストールするか、 NFS などを利用することで削減することができます。
ログ記録量の削減
特にパッケージの依存関係解決器では、パッケージを選択したり選択を解除したりしたタイミングで、大量のログを出力します。 YaST のログで使用するメモリ量を削減するには、 Y2MAXLOGSIZE (KB単位) と Y2MAXLOGNUM のパラメータを指定してください。
Y2MAXLOGSIZE=1000 Y2MAXLOGNUM=1
もちろん、上記のパラメータは YaST バグ報告 を行なう場合には不適切です ;-) 。このような環境でどうしてもログを採取する必要がある場合は、 ネットワークにログを転送 するか、もしくは USB メモリにログを転送 してください。
スワップ領域の追加
通常、 YaST はインストール時に設定したスワップ領域を使用しますが、スワップ領域を使用しはじめるのは、 "もはや後には戻れない段階" であり、その時点ではディスクのフォーマット処理が始まってしまっています。スワップ領域を早い段階で追加するには、起動時のコマンドラインに下記の内容を追加してください:
addswap=sdaN
下記のように入力することで、対話操作でスワップ領域を追加することもできます:
addswap=-1
リムーバブルデバイスへのスワップ領域の設定
残念ながら addswap パラメータでは、 USB メモリ上のパーティションを指定してもうまくスワップ領域を追加できません。このような場合は、下記の手順で設定してください。
まずは Linuxrc のパラメータ start_shell=1 を起動時のコマンドラインに設定し、 YaST の起動前にシェルを起動するようにします:
start_shell=1
上記以外にも、インストール起動後に Alt-F2 を押したり Alt-F9 を押したりすることで、シェルに切り替えることもできます。
シェルを表示することができたら、下記のようにしてスワップパーティションを作成して利用します:
mkswap /dev/sdX1 swapon /dev/sdX1
スワップ領域が有効化されているかどうかを調べるには、下記のコマンドを入力します:
free -m
'start_shell=1' を指定した場合は、インストールを続行するのに exit と入力して [Enter] を押すか、 Ctrl+d を押す必要があります。 Alt-F2, Alt-F9 などでコンソールを表示させていた場合は、 Alt-F1 (テキストモードの場合) または Alt-F7 (GUI モードの場合) でインストール画面に戻ることができます。
古いハードウエアを利用した場合の問題
ハードディスクや CD/DVD ドライブがインストール時に認識されない問題
古いシステム (一般的に Pentium-I 75-150 MHz のマシン) の場合、ハードディスクや CD/DVD ドライブのモジュールを読み込むにあたって、事前に 'ide-generic' モジュールを読み込む必要がある場合があります。このような場合は、起動時のコマンドライン入力で下記のように入力してください:
'insmod=ide-generic'