機能 42.3

移動先: 案内, 検索

openSUSE 42.3 - Leap

openSUSE Leap の次期マイナーバージョンは 42.3 となります。このリリースには 10,000 種類以上のパッケージが用意されているほか、安定性を重視するユーザに対して、一新された環境とハードウエアへの対応を提供しています。 openSUSE Leap 42.3 は、 SUSE Linux Enterprise (SLE) 12 Service Pack (SP) 3 とソースコードを共有していることから、非常に安定していて強化されたディストリビューションになっています。 Leap ではコミュニティの開発者と SUSE のエンジニアが協力して作業を行なうことで、両方からのバグ修正を受けられるようになっています。このような頑強な Leap ディストリビューションの仕組みにより、ストリーミングメディアやゲーム、グラフィックの編集やアニメーションの作成、 3D プリンティングのプロジェクトやワールドワイドなヘルスケアプロジェクト、データ抽出や高性能コンピューティングのためのツール、ネットワーク監視など、様々なパッケージを提供しています。まずは Leap 42.3 をお試しいただき、なぜ多くの人々が openSUSE ディストリビューション に切り替えているのかをお確かめください。

以下の一覧は、本 openSUSE リリースで新しくなったことの詳細な一覧です。より簡潔な情報をお求めの場合は、 機能ハイライト をお読みください。

目次

基本オペレーティングシステム

Linux カーネル

openSUSE Leap 42.3 用の既定のカーネルは、長期メンテナンス対象として指定されているバージョン 4.4 を利用しています。

ネットワーク

  • まったく排他制御を行なうことなく利用できる TCP リスナ処理が追加されました。これにより、より高速でスケーラブルな TCP サーバを提供できます。
  • ブロックデバイス向けの永続性予約 API が追加されました。
  • IPv6 スタック内で VRF (Virtual Routing and Forwarding; 仮想ルーティング/フォワーディング) に対応するようになりました。

セキュリティ

  • ファイルシステムネイティブの暗号化サポートに対する EXT4 の修正が追加されました。
  • UEFI 2.5 の追加機能に対応するようになりました。
  • Intel SHA 拡張を利用するための最適化コードが追加されました。
  • Trusted Platform Module (TPM) 2.0 サポートが改善されました。

ハードウエアサポート

  • LightNVM を介した Open-Channel solid state drive (SSD) に対応するようになりました。
  • Skylake Windows 8 高精度タッチパッドへの対応が改善されました。
  • Google Fiber TV リモートコントロールに対応するようになりました。
  • 新規のドライバ類が追加、および既存のドライバ類も更新されています。

その他

  • ページフォルト時に、メモリをロックするよう要求するための mlock2() システムコールが追加されました。
  • クラスタ化された RAID1 およびジャーナル付き RAID5 への対応が追加されました。
  • x86 KVM に対する多数の改善が図られました。
  • 様々な 64 ビット ARM への変更が行なわれました。

systemd

systemd 228 https://github.com/systemd/systemd/blob/v228/NEWS

"pids" cgroup コントローラへの対応が追加されました。これにより、 cgroup 内のタスク数を集計して、それに対して制限を課すことができるようになっています。ユーザプロセスの場合、この制限は 12K に設定されています。また、システムサービスの場合は、 512 に設定されています。このような構成により、より強健で安定したシステムを構築できるようになっています。具体的には、サービス内での fork() 爆弾のような事象から保護できるようになっています。

また、 systemd パッケージでは machined と importd が有効化されるようになりました。これにより、軽量コンテナを実行する際の systemd 側のネイティブサポートが追加された形になっています。

PHP 7

openSUSE Leap 42.3 では PHP 5 と PHP 7 の両方が提供されています。

PHP 7.0.7 では下記のようなバグが修正されています:

  • バグ #72162 (use-after-free - error_reporting).
  • 特殊な場合における関数呼び出しを無効化するための、コンパイラオプションの追加
  • バグ #72101 (複雑なコードでのクラッシュ)
  • バグ #72100 (非常に大きな整数を扱う場合、 implode() によって結果の文字列内にゴミを混入させてしまう)
  • バグ #72057 (カスタムエラーハンドラとタイプヒントを使用すると、 PHP がハングアップしてしまう)
  • バグ #72038 (by-ref パラメータに対して値を設定して関数を呼び出した場合、 notice をスローしない場合がある)
  • バグ #71737 ($this という名前のパラメータのあるクロージャでメモリリーク)
  • バグ #72059 (定数表現で ?? が許可されない)
  • バグ #72159 (Imported Class Overrides Local Class Name).

バグ修正の詳細については、 http://php.net/ChangeLog-7.php#7.0.7 をお読みください。

本番システムを PHP 5.5.x から 7.0.x に移行することを検討中の場合は、それぞれ下記の後方非互換性や廃止された機能、変更された機能に関する情報をお読みください:

印刷システム

openSUSE Leap 42.3 では、 openSUSE Leap 42.2 と比べて主だった変更は行なわれていません。 cups-filters-1.8.2 は同一バージョンのままですが、 hplip については hplip-3.16.5 から hplip-3.16.11 に更新されています。

Mesa 17

Mesa は OpenGL や Vulkan などの仕様に対するオープンソース実装です。対話的な 3D グラフィックの描画を行なうためのシステムとして提供されています。

新機能

  • RADV を構築するのに --enable-gallium-llvm が必要となるようになりました。
  • vulkan のヘッダ vk_platform.h および vulkan.h がインストールされなくなりました。
  • configure 時のオプション --with-sha1 および --disable-shader-cache が設定されなくなり、関連するライブラリ要件も削除されました。
  • Intel Haswell で OpenGL 4.2 を利用できるようになりました。
  • Intel ANV ドライバで Vulkan Float64 機能に対応するようになりました。

修正

  • 3x4k モニタを 1 列に並べるデスクトップを構築した場合の問題を解決しました。
  • Blender で線の XY クリッピングを削除した場合、線の描画が壊れる問題を解決しました。
  • WebGL2 を有効化した場合、 Firefox で about:support を開くとクラッシュする問題を解決しました。
  • Radeon SI で VDPAU 出力を使用した際、 VLC のビデオの色がおかしくなる問題を解決しました。

詳しくは こちら をお読みください。

オフィス/グループウエア

Firefox 52

Firefox は、 Mozilla Foundation およびその子会社 Mozilla Corporation が開発するオープンソースの Web ブラウザです。

新機能

WebAssembly と呼ばれる、 Web ベースのゲームやアプリ、ソフトウエアライブラリに対して、プラグインを使用することなく、ほぼネイティブと同等の性能をもたらす新しい標準への対応が追加されました。

自動強制ポータル (Captive Portal) 検出と呼ばれる、 Wi-Fi ホットスポットなどへのアクセスを簡単にするための機能が追加されました。強制ポータル機能の設定された環境でインターネットにアクセスしようとすると、 Firefox は自動的にユーザに対して警告を発し、新しいタブでポータルのログインページを表示します。

"secure" 属性の付与された Cookie を、機密の保持されない HTTP サイトに送信することを禁ずる、 Strict Secure Cookies 仕様を実装しました。すでに同じベースドメイン内で "secure" 属性の付与された Cookie が設定されていて、同じ名前の Cookie を機密の保持されない HTTP 側で設定しようとした場合も、拒絶されるようになっています。

機密の保持されない HTTP のログインページに対して、警告を表示するようになりました。ユーザが HTTPS を使用しないログインページにアクセスした場合、ユーザ名またはパスワードのフィールドをクリックすると、 Firefox は "この接続は安全ではありません" というメッセージを表示します。

一方のデバイスから他方のデバイスに対して、開いているタブを送信することのできる Enhanced Sync に対応しました。

変更点

Flash, Silverlight, Java, Acrobat を除く Netscape Plugin API (NPAPI) のプラグインに対するサポートが打ち切られました。今後は Flash などのプラグインに対しても、サポートが提供されなくなる予定です。

ダウンロード時の動作を改善しました:

  • ダウンロードが失敗した場合に、ツールバー内で通知を行なうようになりました
  • 直近のダウンロード 5 件 (従来は 3 件) に対するクイックアクセスが提供されるようになりました
  • ダウンロードのキャンセルや再スタートのボタンを大きくしました

Linux 環境では、 Firefox がサウンドの再生に際して PulseAudio を要求するようになりました。 ALSA を利用した直接再生には対応しなくなっています。

ユーザ追跡機能として利用されがちであった、バッテリーステータス API が削除されました

Mozilla の CA 証明書プログラムに含まれるルート証明書に対して、それらにつながる証明書が SHA-1 で署名されている証明書であった場合に、 "安全な接続ではありません" というエラーメッセージを表示するようになりました (注: Firefox では、手動でルート証明書をインストールすれば、 SHA-1 を使い続けることができます) 。詳しくは、 Mozilla セキュリティチームによる SHA-1 の廃止計画をお読みください。

Libreoffice

LibreOffice はフリーでオープンソースのオフィススイートで、 Document Foundation のプロジェクトでもあります。

Writer

  • 1 回のスペルチェックの完了ではスペルダイアログが閉じないようになりました。
  • 新規文書に対しては、孤立型の段落テキストフローが既定で有効化されるようになりました。
  • データソースを定義した Mail merge に対応しました (詳しくは、このブログをご覧ください)
  • ビューメニュー内に追加されたホワイトスペースオプションが隠されるようになりました。
  • 書式ツールバー内にアウトライン分割のボタンを用意しました。ただし既定では隠されています。
  • 印刷時のプレビューモードで特定のページに飛ぶにあたって、ツールバー内の数値フィールドにページ番号を入れるだけでできるようになりました。

Calc

  • 下の行および右の列に新しいコマンドが追加されています。
  • データソースのキーボードショートカットが、 Ctrl+↑ Shift+F4 に変更されました。従来の F4 はセル参照の切り替えに割り当てられています。
  • 関数ウィザードがパラメータの値を表示し、構造ページ内に結果を出力するようになりました。
  • 回帰分析: 線形, 対数, 指数: 回帰を計算するための新しい統計ダイアログが追加されました。
  • シートレベルのコンテキストメニューを統合しました。
  • LibreOffice Writer, Impress に続いて、 Calc からの PNG エクスポートが追加されました。 ブログの投稿
  • 検索バー、および "検索と置換" ダイアログでの書式検索オプションが追加されました。

Impress および Draw

  • スライドのナビゲーションと並び替えのコマンドが追加されました。ショートカットキーも割り当てられています。
  • マスタースライドショーが、通常のビューとは異なる背景色で表示されるようになりました。
  • プレゼンテーション時、 KDE, XFCE, Mate の各スクリーンセーバが禁止できるようになりました。

Impress モード選択 Impress ではいくつかのモードが有効化されていました:

  • スライドの内容を編集するページ
  • スライドのコンテナを編集するページマスター
  • ノートを追加するためのノート
  • ノートのコンテナを編集するためのノートマスター
  • プレゼンテーションを描くためのプラン
  • 配布資料の形式を定義するためのハンドアウト
  • プレゼンテーションをまとめるためのスライドソーター

マスターモードと非マスターモードの切り替えが面倒でした。作業領域の上にあるタブが画面を占有してしまっていました。

本バージョンでは、 2 種類のツールボックスアイコンが追加されています:

  • 1 つはタブバーの表示を切り替えるもので、既定では隠されています。クリックすると、新しいモード選択ツールが無効化され、従来の動作に戻ります。
  • もう 1 つは上述の 7 種類の作業モードを切り替えるものです。これは 2 種類のゾーンに分かれていて、上は通常モード (プレゼンテーションの内容を扱うモード) 、下はマスターモード (コンテナを扱うモード) です。

スライドデザイン スライド → スライドデザイン内のデザインダイアログが、すべての選択済み (標準) スライドに適用されるようになりました。

幅と高さの調整 複数のオブジェクトを選択した場合、右クリックで表示されるコンテキストメニュー内の "シェイプ" サブメニュー内に、 "幅を合わせる" "高さを合わせる" の各メニューが表示され、最後に選択したオブジェクトに幅や高さを合わせることができるようになりました。

背景画像の保存 スライド内で右クリックすると、背景画像をファイルに保存することができるようになりました。これは既存の背景画像設定オプションに対応します。

制御点の表示と編集 拡張シェイプに対するプロパティダイアログでは、制御点の一覧と編集に対応するようになりました。これは、黄色の制御ハンドルをマウスで操作する従来の仕組みに追加されるものですが、さらに制御点を詳しく表示およひ制御できるようになります。

プレゼンターコンソール プレゼンターコンソール内にボタンが配置され、スライドショー自体をやり直すことなく、スライドショーのタイマーを再起動できるようになりました (詳しくは このブログ投稿 をお読みください) 。

OpenGL 遷移表示 すべての OpenGL 遷移表示が OpenGL 2.1+ に移植されました。これにより、非常に古い GPU への対応が廃止されたことになりますが、新しい GPU ではより効率的に動作するようになっています。また、 OpenGL 3.2+ の新しい機能を必要とする 4 種類の新しい遷移表示が追加されています。

Math

クリップボードからの MathML のインポート

  • Windows での "数式入力パネル" またはブラウザ内の数式から表示させたコンテキストメニューを利用して、 MathML のソースをクリップボードにコピーできるようになりました。 LibreOffice 内の Math モジュールには、メニュー内に "MathML をクリップボードからインポート" という項目が追加され、ソースコードを取り込んで LibreOffice 独自の書式 StarMath に変換できるようになっています。
  • MathML と StarMath にはある程度の差異があるため、インポートされた数式を修正する必要がある場合があります。ですが、多くの数式は問題なく取り込むことができます。変換ができなかった場合は何も起こりません。
  • インポートの処理にあたっては、 xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML" という属性の設定された <math> 要素が必要となります。

ThunderBird 52

Mozilla Thunderbird は、 Mozilla Foundation が開発する、フリーでオープンソース、クロスプラットフォーム対応の電子メール・ニュース・RSS・チャットクライアントです。

新機能
  • フォルダペインのツールバーとフォルダビューのセレクタ (フォルダビューの矢印の代替)
  • Thunderbird からアカウントを削除した際、必要であれば関連するデータファイルも削除できるようになりました
  • Becky! Internet Mail からの設定インポート
  • メッセージフィルタのコピー機能
  • 下書きを編集した際に辞書設定を元に戻すようになりました
  • Content-Language ヘッダ (RFC 3282) がメッセージに付与されて送信されるようになりました
  • カレンダー: タブ内でイベントを作成したり編集したりすることができるようになりました
  • カレンダー: 招待の処理方法の提案
  • チャット: Twitter ダイレクトメッセージへの対応
  • チャット: Twitter での Like およびお気に入りの処理
  • チャット: XMPP: SASL SCRAM 認証機構への対応
  • チャット: Jabber/XMPP Message Carbons (XEP-280) への対応
修正
  • 重要: 作成ウインドウ内での画像の同梱方法が変わっています。画像は データ URI を利用して同梱されるようになり、他のメッセージの部分参照やオペレーティングシステムのファイルの参照としては設定されなくなりました。これにより、 LibreOffice などのオフィスパッケージで、相互運用性を高めることができるようになっています。また、インターネット側にリンクされた画像についてはダウンロードされず、メッセージ内に添付されるようにもなっています。この動作は、画像プロパティのダイアログ内で個別に変更することができるほか、 mail.compose.attach_http_images の設定で全体を変更することもできます。
  • すべての新規フォルダに対して、既定で "通信相手" 列が有効化されるようになりました。 mail.threadpane.use_correspondents を設定することで、無効化することもできます。
  • メーリングリストに変身する際、 Reply-to ヘッダを無視して From ヘッダのアドレスに変身するようになりました
  • Linux ではサウンドを再生する際、 PulseAudio が必要になりました
  • 書式ツールバーが左側に配置されるようになりました。また、配信形式がプレーンテキストのみになりました
  • 外部デバイス内にある IMAP フォルダ内のメッセージが、既定ではフィルタされるようになりました
  • 4GB 以上のサイズになっている mbox ストレージのフォルダが、警告なしに動作するようになりました (ただし mailnews.allowMboxOver4GB が false に設定されている場合を除きます)
  • IMAP のキャッシュが Mozilla の最新キャッシュ技術を使用するようになりました
  • Office アプリケーションに合わせる目的で、作成ウインドウ内でハイパーリンクを挿入するためのキーボードショートカットが、 CTRL+C から CTRL+K に変更になりました
  • チャット: Yahoo! メッセンジャーのサポートが削除されました (Yahoo 側でサポートが削除されたため)

Kopano Core および WebApp

Leap 42.3 では、オフィス内での共同作業のための Kopano Core と Kopano WebApp が追加されています:

  • 簡潔に言うと、 Kopano Core は Exchange Server のインストールの代替となるものです。技術的には、電子メールや連絡先、カレンダーやイベント、タスクなどを処理するためのリモートサービス集です。 kopano-server はメインのストレージサービスで、電子メールなどを key-value 型の領域に保存します。 LMTP, IMAP, POP3, iCal/CalDav, HTTPRPC などのプロトコルにより、 postfix, Thunderbird, Outlook のほか、 Android, BlackBerry, iOS などのモバイルシステムとの接続機能を提供します。
  • WebApp は PHP/JS ベースの Web インターフェイスで、 kopano-server インスタンスに接続するための Outlook Web Access のような仕組みを提供するものです。
  • オプションで Z-Push 拡張 (個別に取得できます) も提供しています。これは kopano-server のインスタンスに対して、 ActiveSync リクエストを翻訳するための PHP ベースの Web サービスです。
  • 詳しくは Wikipedia の記事 (英語) および Kopano オンライン文書 (英語) をお読みください。

デスクトップ環境

Enlightenment

Enlightenment は "デスクトップシェル" に分類されるもので、デスクトップ (またはラップトップ) で行なうものを提供する仕組みではありますが、アプリケーションスイート全体ではありません。つまり、アプリケーションを起動するまでの仕組みやウインドウの管理、サスペンドや再起動、ファイルの管理などの仕組みをそれぞれ提供します。 openSUSE Leap 42.3 では、 openSUSE Leap 42.2 における Enlightenment 0.21.3 から Enlightenment 0.21.8 にアップグレードされています。

変更点

  • エンディアンに関連してマクロの名称を修正
  • コンパイラタイプの警告 (snprintf) の修正
  • E キーボード設定 - キーボード設定ダイアログと同じアイコンを使用するように修正
  • e randr2 - stringshare を stringshare にすることでの解放を修正
  • E の dpms コード内で非ブランクロジックのフルスクリーンを修正
  • フルスクリーンのようなウインドウ状態にあるスクリーンセーバ/バンキングに対するさらなる修正
  • 参照外しを解放したクライアントから、 comp オブジェクトの内部をよくよく保護する仕組みの追加
  • 優先度 AFTER ですべての wl クライアントのフレームコールバックを追加
  • mouse-up フィードでのメニュー有効化の遅延

Enlightenment 0.21.8 に対する詳しい変更履歴は、こちら (英語) にあります。

GNOME

openSUSE Leap 42.3 では、 Leap 42.2 と同じバージョンの GNOME 3.20 を提供しています。

GNOME アプリケーション

Files (Nautilus)

Files アプリケーションやファイルダイアログから、 Google Drive に直接アクセスできるようになりました。この機能を利用するには、単純にオンラインアカウントの設定で Google アカウントを設定するだけです。すると Google Drive が自動的にファイルの場所として表示されるようになります。

いったん設定すると、 Google Drive は通常のファイルやフォルダとほぼ同様に動作します。ファイルは一般的なアプリケーションから開くことができるようになりますし、フォルダについても通常通りに作成することができます。また、 Google Drive へのアップロードも非常に簡単です。単純にファイルを移動したりコピーしたりするだけです。

これに加えて、長時間かかる操作 (大量のファイルをコピーしたり移動したりするような操作) に対する動作が改善されています。ヘッダバー内に進捗状況を示すボタンが表示され、このボタンを押すことでさらに詳しい情報が表示されるようになっています。これにより状況を一目で把握することができるようになります。

また、検索機能にも新機能が追加されています: 検索フィルタが改良され、従来のバージョンよりも非常にシンプルかつ簡易な仕組みになっています。検索の性能も改善されていて、インターフェイスは高速でより応答性のある仕組みになっています。

GNOME カレンダー

カレンダーは GNOME での新しいアプリケーションで、バージョン 3.16 からプレビューとして提供されてきたものです。他の GNOME 3 アプリケーションと一貫性のある見た目で、 GNOME 3 とも完全に統合可能な仕組みになっており、 GNOME アプリケーションスイートの 1 つするのにふさわしい仕組みになっています。直感的なインターフェイスで使いやすく、 GNOME オンラインアカウントとも完全に統合されています。

現時点での機能はシンプルかつ簡単な仕組みになっていて、年月の表示や検索、ファイルからのカレンダーの追加や URL からのリモートカレンダーの追加、オンラインアカウント統合やイベントの表示/編集などにも対応しています。

自動輝度調整

お使いのコンピュータに光センサーが内蔵されている場合、 GNOME 3 を利用することで自動的に明るさを調整することができます。周囲の明るさに応じて画面を見やすく調整するだけでなく、バッテリーの消費を抑えるようにする仕組みも備わっています。また、電源設定では自動的な明るさ調整を無効化するオプションも用意され、必要に応じて設定できるようになっています。

シンプルで簡単な写真編集

GNOME 3.20 では 'Photos' で編集機能が追加されました。新しい編集コントロールはシンプルで使いやすい仕組みになっています。編集機能はすべて破壊的なものではなく、元の写真はそのまま保存され、かつ元に戻すこともできるようになっています。また、編集機能には切り取りや回転、色の調整や画像の強調などを行なうことができます。また、芸術的なフィルタも利用できます。

メディアコントロールへの素早いアクセス

GNOME 3.20 では、メディアコントロール機能が内蔵され、通知/クロック領域に表示されるようになっています。これにより、現在使用中の音楽/映像アプリケーションに素早くアクセスすることができます。また、複数のメディアアプリケーション向けのコントロールも、同時に表示されます。

コントロールには現在再生中のトラックに対する曲名とアーティスト名が表示され、そこから一時停止や再開を行なうことができます。早送りや巻き戻しなども行なうことができます。この新機能は、 MPRIS 標準に対応した様々なミュージックプレーヤで動作します。

Maps

Maps では、 OpenStreetMap のログイン情報を利用することで、位置情報の編集や追加を行なうことができるようになりました。 これに加えて、経路の印刷や保存、文書や電子メールに含めるための png 形式での画像保存などを行なうことができます。

その他の小規模な改善
  • Dash 内のアプリケーションランチャーとアプリケーションの概要に、セカンダリクリックショートカットが割り当てられるようになりました。 Evolution のアイコンでセカンダリクリック (右クリック、もしくはプライマリクリックの後に長押し) することで、メール作成やカレンダー、連絡先やタスクなどを直接開くことができます。
  • GNOME 内の多数のアプリケーションに、便利なキーボードショートカットウインドウが用意されるようになりました (Files アプリケーションが開いている際に Ctrl+? を押してみてください) 。
  • IRC チャットアプリケーションの Polari では、画像や大きなテキストを張り付けた際、自動的に pastebin サービスを利用して貼り付けを行ない、 URL をメッセージ内に表示するようになっています。この仕組みにより、面倒な作業を一括でできるようになります。
  • pdf と djvu に対応したドキュメントビューア Evince では、注釈インターフェイスに大きな改善が図られています。既存の注釈機能に加え、ハイライト表示にも対応しています。
  • 位置情報の検知をアプリケーションレベルで制御できるようになりました。これにより、さらにプライバシーを強化することができます。
  • システム設定内のマウスとタッチパッドの設定が再設計され、より便利に利用できるようになりました。
  • Web (または Epiphany) もしくは GNOME のその他のブラウザには、様々な変更が加えられています。ユーザインターフェイスとしては、進行中または完了済みのダウンロードに対して、わかりやすく表示する機能が追加されています。このほか、直前のブラウジングセッションから復元するように選択した場合に、セッションを復元できる機能が追加されています。セッションの復元は、履歴全体だけでなく、直前のセッションからのスクロール位置も含まれています。
  • GNOME で非常にユーザフレンドリな仮想化アプリである Boxes では、リストビューが改善され、すべての仮想マシンに対して現在の状態を表示することができるようになっています。
  • 既定のリポジトリ内に下記のような新しいアプリケーションも用意されています:
    • Lollypop - 新しい機能豊富なミュージックプレーヤ
    • GNOME To Do - タスクアプリケーション
    • Calendar - ユーザフレンドリなカレンダ、および予定管理
    • Guake - ドロップダウン型ターミナル

GNOME インフラストラクチャ/内部

dconf エディタ

dconf エディタも 3.20 に合わせて改善されています。設定リストはオーバーホールされ、よりわかりやすい全体表示を提供するようになっています。また、各行には設定の説明が表示されるようになりました。検索機能は他の GNOME アプリケーション内にあるものを使用していますが、これによって見つけやすくしています。なお、検索は入力するとすぐに行なわれます。

GTK+ インスペクタ

GTK+ インスペクタのキーボードショートカットは、明示的に有効化されなければなりません。これは DConf エディタで行なうことができます。 org → gtk → settings → Debug で enable-inspector-keybinding にチェックを入れてください。下記のコマンドでも有効化することができます。

  gsettings set org.gtk.Settings.Debug enable-inspector-keybinding true
GLib
  • スレッドプールが 10 スレッドまでに限定されていた制限が外されました。
  • GNetworkMonitor で従量制ネットワークに関する情報が表示されるようになりました。
  • 可搬性の改善: GNotification が OS X 上で実装されるようになり、 GAppInfo が部分的に Windows 上で実装されるようになりました (レジストリで賄われています) 。
Builder

Builder は GNOME 向けの新しい統合開発環境 (IDE) で、様々な開発作業、特にアプリケーションの開発を素早く簡単に行うことができるように作られています。クラウドファンディングキャンペーンのおかげで、前回のリリースから多数の改善を図ることができるようになっています。現在もなお積極的な開発が行なわれていて、非常に効率的なツールになっています。

KDE Plasma 5.8

openSUSE Leap 42.3 は、 KDE Plasma 5.8 の長期サポート版を使い続けています。 Leap 42.3 のリリースに際して、バージョン 5.8.7 には多数の改善が図られ、デスクトップエクスペリエンスを改善するための新しいモジュールも追加されています。

KDE への貢献者が新しい翻訳に費やした 3 か月間の成果により、 KDE には素晴らしいユーザ体験がもたらされています。バグ修正は小さいものばかりではありますが、重要なものでもあります。また、ユーザ管理やシステム設定、オーディオの音量制御や Plasma ワークスペースに対する修正も含まれています。

kio-gdrive のおかげで、 KDE でも Google Drive との統合ができるようになっています。これにより、 Dolphin だけでなく、 KDE のファイルダイアログからも、クラウド内のデータにアクセスできるようになります。アカウントを設定するには、 kio-gdrive パッケージをインストールしたあと、 Dolphin を開いてネットワークフォルダを選択し、 Google Drive に移動してサインインしてください。すると、サイドパネル内に新しい場所が追加され、すべての KDE アプリケーションから簡単に Google Drive にアクセスできるようになります。

Applications 17.04.2

最新のアプリケーションにはいくつかの修正と新機能が含まれています。 Dolphin から Konqueror まで、 Applications 17.04.2 はユーザ体験を拡張します。 Applications 17.04.2 に対する変更履歴は、 こちら (英語) をお読みください。

Dolphin
  • 検索ボックスを修正。タブ間での分割ビューの遷移。
  • 領域情報バー上にマウスカーソルを移動させた際のハンドカーソルの表示。
  • "Date" (日時) を "Modified" (最終更新日時) に変更し、新しく "Accessed" (アクセス日時) へのアクセスを提供。
  • 非同期の条件の修正。
  • DolphinSearchBox: "More search tools..." メニューボタンの追加。
  • 単純な画像ファイルのプレビューではなく、多くのプレビューに対応するプレビュー用のシャドウフレームの追加。
kalgebra
  • 従来の UI と同じ既定ウインドウサイズの提供。
  • ウイジェットベースの UI にのみ必要な PrintSupport の追加。
  • ログから入力へのテキスト貼り付けの実装。
  • 3D 描画を行なうための PlotsView3DES の使用。
konqueror
  • "Default web browser engine" (既定の Web ブラウザエンジン) の設定の復元および移動。
  • 'ホームフォルダ' の動作の修正。
  • 3D 描画を行なうための PlotsView3DES の使用。
print-manager
  • 印刷ジョブを他のプリンタに移動する場合の問題の修正。
  • "printmanager" に送信する X-KDE-Library の値に "kded_" を追加することで、 kded から扱いやすくした。
  • 古い Plasma PopupApplet サービスタイプの削除。

フレームワーク

KDE フレームワーク 5.32.0 では、 KDE ユーザに対して多数のコンポーネントの更新をもたらしています。これらの更新には、 KWidgetsAddons, KTextEditor, KPackage フレームワーク, KNotification などが含まれています。このフレームワークリリースには多数のバグ修正や改善が含まれているほか、 Breeze のアイコンも変更されています。ライブラリやソフトウエアフレームワークのコレクションは、ファイル形式のサポートやグラフィカルなコントロール要素、グラフ関数やスペルチェックなどに対して、必要な機能やソリューションが含まれています。このほか、このリリースでは KNotification を介した Flatpak ポータルへの対応や、 KTextEditor には、編集フィールドのラベルテキストを利用した、文章スタイルによるキャピタライズが含まれています。また、 KDE 3 から構築され続けている KDE Kiosk も使用することができます。

LXQt

openSUSE Leap 42.3 では、 openSUSE Leap 42.2 と同じく LXQt 0.11 バージョンを提供しています。

  • 本リリースでは、マルチモニタへの対応が多く改善されています (特に lxqt-panel)
  • lxqt-panel メニュー内からの検索機能の追加
  • 新規コンポーネント: pavucontrol-qt (PulseAudio に対する Qt インターフェイス)
  • lxqt-config ではディスプレイの明るさを調整できるツールを追加
  • 既定の画像ビューアとしてパターン内に指定されているソフトウエアが、 gwenview から新しい Lximage-qt に変更
  • パターンで lightdm を必要とするように変更

LXQt の完全な変更点の一覧は、 LXQt リリースノート (英語) をお読みください。

ヘルアケア

openSUSE Leap 42.3 では、ワールドワイドなヘルスケアイニシアティブに対応したパッケージが提供され、健康管理の改善に役立つようになっています。

GNU Health

GNUSolidario と呼ばれる非営利・非政府組織で開発されている GNU Health は、世界中の保健従事者や医療機関、政府などに対して、フリーでオープンソースのソフトウエアを提供するものです。 GNU Health のフリーソフトウエアは、病院内情報システム (HIS) や健康情報システム、電子カルテの管理システムの普及を促進する機能を提供します。また、このソフトウエアは多数の言語に翻訳されています: アラビア語, 中国語 (簡体字), 英語 (英国), フランス語, ドイツ語, ギリシャ語, イタリア語, 日本語, カンナダ語, ラーオ語, ポルトガル語 (ブラジル), スペイン語 (アルゼンチン), スペイン語 (エクアドル), スペイン語 (メキシコ), スペイン語 (ペルー), スペイン語 (スペイン)

新しい GNU Health リリース 3.2 はメジャーマイルストーンに位置づけられるもので、 Python 3 に完全に移植されています。将来の GNU Health 連合への基礎を構築しているといえるでしょう。

新機能

  • Tryton 4.2 との統合
  • すべての GNU Health パッケージが Python 3 で記述されるように
  • カレンダーや WebDAV システムに対する拡張サポート
  • Crypto パッケージの更新
  • ヘルスサービスと lab orders とのリンク
  • 言語とローカライズの改善、地域言語への翻訳の最適化
  • lab test のための cod39 の追加
  • メインの個人情報内に Domicilary Unit アドレスの追加
  • gnuhealth-setup および gnuhealth-control プログラムの改善 (gnuhealth-control は openSUSE 向けに調整されたバージョンを同梱)
  • 患者、薬品、サービスをそれぞれ有効化/無効化できるように

新規モジュール

  • health_ems : 救急医療および救急車の管理
  • health_insurance : 保険管理と価格リスト
  • health_genetics_uniprot : 多数の遺伝的自然変異体や表現型向けの Uniprot DB
  • health_crypto_lab : lab orders 向けのデジタル署名
  • health_services_lab : lab orders のサービスとの統合

health-check

Health-check は、指定した時間でプロセスや子プロセス/スレッド (必要であれば) を監視します。監視の終了時には、指定したプロセスで使用した CPU 時間のほか、生成されたウェイクアップイベントの数や I/O 操作の数を表示します。これにより、正しい動作をしていないプロセスを見つけ出すことができます。

openSUSE の技術

AutoYaST

AutoYaST が従来よりもさらに強健に、パワフルでフレンドリーな仕組みになりました。多くの状況下で高速にインストールすることができるだけでなく、パーティションサイズなどを自動調整した場合のレポート機能や、サービスの管理などが第 1 ステージに移動され、さらに柔軟な無人インストールに対応するようになりました。

それだけではありません。 AutoYaST には SaltStack や Leap ファミリに追加された他の設定管理システムへの新しい統合が追加されています: 詳しくは yast2-configuration-manager パッケージをご覧ください。 AutoYaST では、システムのインストール (パーティション設定、ネットワーク設定など) に関して扱うだけでなく、様々な外部ツールとも連携して、システムの設定そのものを代理することもできます。

Snapper

openSUSE は Snapper 0.5.0 を 5 月にリリースし、 Leap のユーザに対して、スナップショットのロールバックに対するアルゴリズムのクリーンアップをもたらしています。 Snapper のスナップショット機能は、 btrfs ファイルシステムをベースにした仕組みで、より成熟した、ディスクを浪費しない仕組みへと変化しています。また、 Snapper は読み込み専用の btrfs ファイルシステムを利用する場合の改善も行なわれています。これは openSUSE Kubic と呼ばれる、読み込み専用のファイルシステムを利用し、トランザクション型の更新を実施するシステムに関連しています。

(トランザクション型更新は、システムのスナップショットを作成することで動作する仕組みで、新しいスナップショット内でパッケージを更新します。このような仕組みを利用することで、現在動作中のサービスには影響がないようにしています。その代わりに、更新は再起動を行なうことによって反映されます。システム側では読み込み専用のルートファイルシステムを利用し、トランザクション型の更新を行なうことによって、不用意に動作中のシステムに影響してしまうことを防ぐことができます。 openSUSE を YaST とともにインストールすることで、ルートファイルシステムに対する領域のクリーンアップも実行されます。)

YaST

YaST 開発スプリントの活動により、 openSUSE Leap 42.3 には大量の改善点が追加されています。 YaST コミュニティでは有用性を改善するための活動を活発化させているほか、 Tumbleweed や Leap に対する新しいツールやモジュールなどの追加も行なっています。改善点としては、例えば EFI システムでも利用できる Trusted Boot 機能の設定や使用への対応のほか、ネットワークインストールの新しい方法や YaST パーティション設定の機能拡張、 systemd サービスとのよりよい統合などが含まれています。

最もわかりやすい変更としては、インストール時点でのデスクトップの選択画面の改善があります。 KDE や GNOME という選択肢だけでなく、すべてのグラフィカル環境を公平に選択できる環境を用意しています。インストーラでは、あらかじめ決められた "第二の" デスクトップ環境を選択するようなことはなく、各グラフィカル環境をよく知るユーザが作成し、メンテナンスしているパターンを利用してインストールするようになっています。そのため、 "実施する人が決める" やり方に従って、デスクトップも選択するようになっています。

科学/教育系アプリ

Avogadro

Avogadro は計算化学や分子シミュレーション、生命情報学や材料科学などの関連分野に対応した、クロスプラットフォーム対応の高度な分子構造エディタです。柔軟なレンダリング機能のほか、パワフルなプラグイン機能を提供しています。


Chemical MIME Data

様々な化学系 MIME タイプ (chemical/*) を Linux/UNIX デスクトップで利用するための、データファイル集です。 Chemical MIME は 1995 年に提案された仕組みですが、 IANA にはまだ登録されていないものです。

Octave

GNU Octave は高レベル言語であり、主に数値計算を目的として使用されるものです。線形/非線形の各問題の数値解を求めるための便利なコマンドラインインターフェイスのほか、 Matlab とほぼ互換の数値実験を実施するための仕組みも用意されています。また、バッチ志向のインターフェイスも用意されています。

Octave には共通数値線形代数問題の解決のほか、非線形方程式の根の発見や通常型関数の統合、多項式の操作や常微分方程式と微分代数方程式の統合などを行なうための、広範囲なツールを提供しています。 Octave の独自言語を利用したり、 C++, C, Fortran などの言語を利用した動的モジュールを利用することで、ユーザ定義関数で容易に拡張およびカスタマイズすることができます。

KStars

KStars はフリーでオープンソース、クロスプラットフォーム対応の天文学ソフトウエアです。地球上の任意の場所、任意の時間の夜間の星空を、正確にかつグラフィカルにシミュレーションします。最大で 1 億個の星, 13,000 個の遠距離天体, 8 個の惑星, 太陽と月, 何千もの彗星, 小惑星, 超新星, 衛星などに対応低ます。また、学生向けにも教師向けにも作られていて、長期間のタイムスケールで発生する様々な事象を擬似するための速度調整も行なうことができます。また、 KStars の天文計算機の仕組みにより、合などの多くの一般的な天文計算を予知することもできます。

Open Babel

Open Babel は、化学データを様々な言語で話すための化学ツールボックスです。オープンで対話的な開発を行なっていて、分子シミュレーションや化学、半導体材料などねデータを検索、変換、分析、保存することができます。

Scilab

Scilab は、様々な言語 (C, C++, Fortran...) で作られた、多数の数学関数を含むエンジニアリングや科学プログラムに対して、数値計算の機能を対話的に追加することのできる、科学ソフトウエアパッケージです。洗練されたデータ構造 (リスト, 多項式, 有理関数, 線形システム...) を持った、インタプリタであり高レベルなプログラミング言語です。 Scilab や Maple のファイルも変換することができます。

Step

Step はオープンソースの二次元物理学シミュレーションエンジンで、 KDE Education プロジェクトの一部である KDE SC にも含まれているソフトウエアです。 StepCore と呼ばれる物理シミュレーションライブラリが含まれています。

セキュリティ

openSUSE Leap 42.3 にはいくつかのセキュリティ向けソフトウエアも含まれています。下記では、お使いのシステムの保護を強化するための、いくつかのソフトウエアを示しています。

apparmor

AppArmor は効率的で使いやすい、 Linux アプリケーションセキュリティシステムです。 AppArmor は、オペレーティングシステムやアプリケーションに対する、ゼロデイアタックを含む外部および内部からの脅威を、積極的に保護する仕組みです。適切な動作を規定することで、未知のアプリケーションの欠陥も保護するように作られています。

AppArmor 2.10.2 は AppArmor 2.10.1 に対する増分バグ修正リリースで、主にユーザスペースのコードで発生する問題を修正しています。

Lynis

Lynis はセキュリティツールであり、システム監査ツールでもあります。監査にあたっては、下記のような興味深いシステムの箇所をスキャンします:

  • セキュリティ拡張
  • ログと監査のオプション
  • バナーによる識別
  • ソフトウエアの利用可否

yast2-security

セキュリティに関する設定を行なうための YaST2 コンポーネントです。

ツール

CMake 3.5.2

CMake は、コンパイラに依存しない方法でオペレーティングシステム内での構築処理を管理する、拡張性のあるオープンソースシステムです。多くのクロスプラットフォーム型の仕組みとは異なり、 CMake はネイティブな構築環境と併用するように作られています。各ソースディレクトリ内にあるシンプルな設定ファイル (CMakeLists.txt ファイル) を利用することで、一般的に使用される標準的な構築ファイル (Unix では Makefile, Windows MSVC であればプロジェクトやワークスペース) を生成します。 CMake は、ソースコードをコンパイルしたりライブラリを作成したり、ラッパーを生成したり実行ファイルを構築したりする任意の構築処理環境を、生成することができます。

GUI

  • cmake-gui(1) に対して、古い機能に関する警告表示を制御できるオプションが追加されました。
  • cmake-gui(1) では VS IDE, Xcode 生成で使用されるツールセットを設定するオプションが追加されました。 cmake(1) で既に存在する -T と非常に似た仕組みです。
  • cmake-gui(1) では正規表現エクスプローラが追加され、リアルタイムに正規表現を作成および評価できるようになりました。エクスプローラウインドウはツールメニューからアクセスすることができます。

コマンドライン

  • cmake(1) オプションの -Wdev および -Wno-dev オプションが有効化され、既定で出力されていた廃止予定の警告が省略されるようになっています。
  • 開発者向けの警告の省略を、 cmake(1) オプションの -Werror=dev および -Wno-error=dev で制御できるようになりました。
  • cmake(1) -E コマンドラインツールが複数の入力ファイルおよびディレクトリに対応し、 copy, copy_if_different, copy_directory, make_directory ができるようになりました。

コマンド

  • cmake_parse_arguments() がネイティブに実装されるようになりました。 CMakeParseArguments モジュールは、互換性維持のために空のプレースホルダのままになっています。
  • install(DIRECTORY) コマンドがディレクトリのリスト内で生成表現に対応するようになりました。

変数

  • cmake(1) オプションの -Werror=deprecated および -Wno-error=deprecated を使用することで、 CMAKE_ERROR_DEPRECATED 変数を設定できるようになりました。
  • cmake(1) オプションの -Wdeprecated および -Wno-deprecated を使用することで、 CMAKE_WARN_DEPRECATED 変数を設定できるようになりました。

モジュール

  • ExternalProject モジュールに対して、 git clone --origin の値を制御するための新しい GIT_REMOTE_NAME オプションが追加されました。
  • FindBoost モジュールに対して、 Boost::boost や Boost::filesystem などのインポートターゲットが提供されるようになりました。
  • FindFLEX モジュールに対して、精製すべき独自の出力ヘッダを指定するための新しい DEFINES_FILE オプションが追加されました。
  • FindGTest モジュールがインポートターゲットに対応しました。
  • FindGTK2 では GTK2_USE_IMPORTED_TARGETS を有効にすると、 GTK2_LIBRARIES 内に、ライブラリのパスの代わりにインポートターゲットのリストが設定されるようになりました。さらに GTK2_TARGETS にはインポートした全てのターゲットが含まれるようになっています。
  • FindOpenMP モジュールが Clang に対応しました。
  • FindOpenSSL モジュールで MSVC 静的ランタイムを使用するライブラリの検索を行なうため、 OPENSSL_MSVC_STATIC_RT オプションが追加されました。
  • FindPNG モジュールがインポートターゲットに対応しました。
  • FindTIFF モジュールがインポートターゲットに対応しました。
  • FindXalanC モジュールが Apache Xalan-C++ XSL 変換処理ライブラリを検出するようになりました。
  • FindXercesC モジュールがインポートターゲットに対応しました。

プラットフォーム

  • コンパイラ ID ARMCC で ARM コンパイラ (arm.com) に対応しました。
  • ターゲットコンピューティングノードとして、 Cray Linux 環境内でのクロスコンパイルに対応する新しいプラットフォームが追加されました。使用方法に関する詳しい説明は、 Cray Linux Environment をお読みください。
  • Compile Features の機能が Windows 上での Clang コンパイラ (MinGW) を検出できるようになりました。
  • iOS のような組み込み Apple プラットフォーム向けの構築を行なう際、 CMake がデバイスとシミュレータの各ビルドに含まれるターゲットを構築し、インストールできるようになりました。この動作は、 IOS_INSTALL_COMBINED ターゲットプロパティを設定することで有効化できます。

nodejs

イベント駆動型の非同期 JavaScript ランタイムとして、 Node はスケーラブルなネットワークアプリケーションの構築を支援します。 openSUSE Leap 42.3 では nodejs 4 および 6 が提供されます。 nodejs バージョン 6.9.5 で最も顕著な変更点としては、 OpenSSL のソースを 1.0.2k に更新したことが上げられます。これは nodejs バージョン 4.7.3 でも取り込まれています。

Qt

Qt ライブラリは 5.6.2 というバグ修正版に更新されました。 Qt 5.6.0 と前方および後方の互換性があります (ソースコードとバイナリの両方) 。また、本リリースは長期サポート版である Qt 5.6 の 2 番目の修正リリースとなりますが、今後もさらに修正を取り込む予定です。修正リリースには新しい機能が含まれませんが、セキュリティ修正やエラーの訂正、一般的な改善点などが含まれています。詳しくは Qt 5.6.2 の記事をお読みください。また、 Qt では avahi を利用してリモートの印刷キューを検出することができるようになっています。これにより、アプリケーション内で最初に印刷ダイアログを開いた際に、少しだけ遅れて表示されることになります。ネットワークの印刷キューがない場合や、このような遅延が邪魔にお感じの場合は、 /etc/environment 内で QT_DISABLE_PRINTER_DISCOVERY 環境変数を 1 に設定して、無効化してください。

この更新とは別に、 Qt Creator はバージョン 4.3.0 に更新されています。 Qt Creator 4.3 では Qt Quick Designed 内にコードエディタが統合され、プロパティエディタやナビゲータを使用してコードを変更することができるようになっています。また、グラフィカルエディタとコードエディタの双方ではビューを分割することができますので、グラフィカルエディタでの変更をコード側で確認したり、その逆を行なったりすることができます。

GNU コンパイラコレクション

GCC7 がオプションで選択可能なコンパイラになりました。 GCC 5, GCC 6 についても同様です。これにより、開発者に選択の幅を提供することになります。なお、既定のコンパイラは GCC 4.8.5 です。

Ruby 2.4

Ruby 2.1, 2.2, 2.3 に加えて、 Ruby 2.4 もオプションで選択できるようになりました。

その他の新機能

  • zypper lifecycle プラグインが追加されました。子のプラグインを利用することで、サポート期間内であるかどうかを確認できるようになっています。
  • バージョンを指定しない場合、 postgresql 9.6 がインストールされるようになっています。ただし postgresql 9.4 も用意されています。