openSUSE:フレイトトレイン
フレイトトレインへの招待
openSUSE では、誰もが同じ内容を同じ方法で貢献できるわけではありません。ある人は 1 週間あたり数時間程度の翻訳作業を行なっていたりするでしょうし、別の人は毎朝新しいソフトウエアのパッケージ作成を行なっていたりするでしょう。また、中枢となるインフラ構造のメンテナンスに年中従事している人もいるでしょうし、毎週末のリリース時間に Q&A に対応して、 openSUSE の細かな問題点に対応している人もいるでしょう。また、ボランティアで無償作業を行なっている人々がいる一方で、オフィス内で有償労働の形で貢献している人たちもいて、さまざまに状況が異なっています。ボランティアの方々はそれぞれできる限りの貢献をしていますが、夜間や週末など、作業時間が限られることも事実です。また、彼らは openSUSE に対して希望するものや重要であると考えるものに対して独自の判断で作業を行なうものであり、完全性の判断やそれに伴う書き直し、制限事項などについても、 IRC やメーリングリストなどで他の人と話し合う機会はあるものの、独自に判断して貢献を行ないます。一方、有償労働の貢献者は、 (プロダクト) マネージャなどから期限などの圧力を受けて、 1 日 8 時間のオフィス時間を利用して、他のエンジニアとミーティングなどを行ないながら、すべき作業を判断します。
このような構造は、時によって分裂を招くことがあります: 企業人 には計画や従うべき期限があり、素早い問題解決と判断を直接顔と顔を合わせたミーティングで解決しますが、コミュニティはそこから置いていかれた状況になってしまうため、コミュニティは疎外されたように感じてしまうほか、関係性を絶たれて不満を感じる結果にもなってしまいます。その結果、彼らは制御を失ってしまい、良好だったはずのプロジェクトも '放り出される' 形になり、企業人は彼らの思う方向と食い違うものを塞いで、パッチなどのレビューも ('忙しい' などの建前で) 行なわなくなってしまいます。
これは、コミュニティ内で活動する企業の 'フレイトトレイン (貨物列車) 効果' と呼ばれ、当然のことながら悪い状況ではありますが、どこにでも起こりうるよくある話で、事実あちこちでそのような状況が発生しています。
openSUSE とフレイトトレイン効果などの問題について
openSUSE の Factory 開発モデル に従い、私たちは非常に平坦な組織体系になっています。パッケージ作成者は devel プロジェクトにパッケージを提供し、 devel プロジェクトは Factory に対してパッケージを提供します。決定は Devel チームと Factory リリースチームが実施します。この場合、これらの決定者は中枢部分や長期間にわたる貢献者であることがしばしばあり、場合によってはフルタイムの (SUSE または openSUSE 関連の他の企業の) 従業員であることもあります。つまり、ここにはフレイトトレイン効果によるリスクが存在することになります。
また、フレイトトレイン効果が発生しない場合であっても、対話がうまくいかないことがあります。私たちの openSUSE:カンファレンス行動規範 にも下記のとおり明記されています:
我々はコミュニティの一員として、あらゆる種類の人々を尊重し、敬意を払うものとします。これにはたとえば、性別や信条、人種や能力、体形などが含まれます。
我々は様々な好みをもった人々の集合ではありますが、お互いに好みが合うものとは限りません。場合によっては互いに衝突することもあるでしょう。それは個人的/文化的な理由であることもありますし、それ以外の違いによるものである場合もあります。
これは揺るぎのない事実であり、必ず発生するものであるからこそ、大人の対応でそれを扱うべきなのです。技術面での判断は技術的な側面からのみ下されるべきで、それによってコミュニティとの対話に正当性と公共性が生まれてくるのです。もちろん 誰から の入力であっても、それは歓迎されるべきで、貢献を阻害されるようなことがあってはなりません。
うまくいかない場合...
誰かが貢献をブロックしてしまっている場合、下記のようなことになっていないでしょうか:
- メンテナンス担当者が忙しく、時間が取れない
- 誰かが作業を引き継いでいる
- 他の誰かが作業を取り消したり、削除したりしようとしている
このような場合は、フレイトトレインチームにご連絡ください。問題となっている状況を調査して関係者と対話し、解決を試みます。
フレイトトレインチームでは、下記のようなことを行ないます:
- メンテナンス担当者に連絡をし、取り込み (merge) 要求をきちんと処理するように依頼します (もしくは作業が難しそうであれば、メンテナンスの担当を外してもらいます!)
- コミュニティの成果を無駄にしてしまう、フレイトトレイン効果を防ごうとします。
なお、他の方と 個人的な問題 をお持ちの場合は、フレイトトレインチームでは対応できません。他の方に相談していただくか、それでもうまくいかない場合は、 openSUSE board にご連絡ください。フレイトトレインチームは事実の清算や衝突の解決を行なう機関ではなく、コミュニティのメンバーからの貢献物に対して、障害となる物を取り除くために努力するチームです。
連絡先
我々と連絡を取りたい場合は、 freighttrain@opensuse.org 宛に英語にてご連絡ください。