openSUSE Weekly News/184
openSUSE Weekly News 日本語版 第184号 今週の見出し
- openSUSE カンファレンス一般参加者登録受付開始!
- Michal Marek: 12.1 ではカーネルパッケージを保持できるようになります
- Klaas Freitag: Zippl 再び – 今回はパッケージ化しました
- HowtoForge/Falko Timme: openSUSE 11.4 GNOME デスクトップ (NVIDIA GeForce 8100) の環境で Compiz Fusion を有効に
- Nelson Marques: openSUSE でのアイコン付きアプリケーションのパッケージ化と「hicolor」マクロ
編集/翻訳: openSUSE Weekly News 日本語版チーム (OWN-ja チーム)
お知らせ
openSUSE カンファレンス、登壇者募集締切延長
"先月いっぱい、カンファレンスチームには openSUSE カンファレンスに向けてのセッション案が多数届きました。しかしながら、私たちが求めている「インタラクティブ」なセッションについてはもっといろいろな可能性があり得るのではないかと思うのです。ということで、BoF、ワークショップ、ハックセッションについては申し込み締め切りを二週間延長することにいたしました。また、どのような内容のものを求めているか、以下に説明していきたいと思います! (...)"
openSUSE と RW セッション — ワークショップ
"openSUSE カンファレンスでのセッションについての前回の記事では、BoF についてお話しました。本日は、ワークショップについての何故、何、どうやってを見ていきたいと思います。
釣りのしかたを教えよう
食料を与えるよりも、釣りのしかたを教える方がどれだけいいことなのかということについてはお分かりでしょうか? ワークショップとは何なのか、これが端的な説明です。あなたには、何でもかんでも自分でやってしまいワンマンショーを演じることも、仲間を増やして立ち上げたソフトウェアプロジェクトを育てていくために他の人にいろいろ教えていくこともできるわけです。今回掲げた RWX³ というテーマのもと、openSUSE カンファレンスはワークショップを開くのに絶好の場となるはずです。 (...)"
openSUSE カンファレンス一般参加者登録受付開始!
"運営チームはここに、ニュルンベルクで9月11日から14日にかけて開催される openSUSE カンファレンスへの一般参加登録が開始されたことをお知らせいたします。いいイベント計画をまとめるためにも、登録フォームに進んでご登録お願いします。
Google Summer of Code 2011
- GSoC もいよいよ折り返し地点。今週は参加している学生さんたちからの「中間報告」が続々と寄せられました。
Marcus Hüwe: "GSoC" osc コードの整理 – 第7週のまとめ
Justine Leng: プロジェクト中間レビュー
N B Prashanth: GSoC 中間まとめ報告 - libYUI の分離
Mihnea Dobrescu-Balaur: Suse Bug Reporter - GSoC 中間報告
Sebastian Oliva: GSoC 中間報告
Eric Yang: "GSoC" openSUSE への Wubi の移植 - 中間報告
Ratan Sebastian: "GSoC" SSC プロジェクト中間報告
Christos Bountalis: "GSoC" 設定/sysconfig ファイルをマージするためのユーティリティ -中間報告-
Nikolay Rysev: "GSoC" Open Build Service を Arch Linux で使うためのバックエンド 中間報告
David Williams: "GSoC" Entomologist の UI の変更 - 中間報告
更新状況
ディストリビューション
Michal Marek: 12.1 ではカーネルパッケージを保持できるようになります
"長らくお待たせしていましたが、openSUSE をアップデートする際の保持機能がついに実現しました! しばらく前から、/etc/zypp/zypp.conf に以下のように記述しておけば、libzypp に対してアップデートの際古いカーネルを削除しないよう知らせることはできるようになっていました:
multiversion = provides:multiversion(kernel)
こうしておけば、起動しなくなるんじゃないかという不安を抱くことなく Factory にある最新のリリース候補版カーネルだって入れることができるんです。しかしこうすると一つ問題は解消されるものの、もう一つ別の問題が持ち上がります – 古いカーネルを自分で消していかないと、/boot パーティションが満杯になってしまうんです。openSUSE 12.1 ではこの問題に対する解決策が用意され、アップデート後に残しておきたいカーネルを指定して、その他のものについては削除されるようになったのです。その設定はやはり /etc/zypp/zypp.conf に記述するのですが、以下のような感じになります:
- ## Comma separated list of kernel packages to keep installed in parallel, if the
- ## above multiversion variable is set. Packages can be specified as
- ## 2.6.32.12-0.7 - Exact version to keep
- ## latest - Keep kernel with the highest version number
- ## latest-N - Keep kernel with the Nth highest version number
- ## running - Keep the running kernel
- ## oldest - Keep kernel with the lowest version number (the GA kernel)
- ## oldest+N - Keep kernel with the Nth lowest version number
- ##
- ## Default: Do not delete any kernels if multiversion = provides:multiversion(kernel) is set multiversion.kernels = latest,running (...)"
- 設定ファイルなので当然上記のような英語表記となりますが、以下、参考訳を付けておきます。
- ## 上で multiversion 変数が設定されている場合、コンマで区切られたリストに記載されたカーネルパッケージが
- ## 並行してインストールされた状態になります。パッケージについては以下のように指定することができます。
- ## 2.6.32.12-0.7 - 保持しておきたいバージョンを直接指定
- ## latest - 最新のバージョンナンバーのカーネルを保持
- ## latest-N - N 番目に新しいバージョンナンバーのカーネルを保持
- ## running - 稼働中のカーネルを保持
- ## oldest - 一番古いバージョンナンバーのカーネル (GA カーネル) を保持
- ## oldest+N - N 番目に古いバージョンナンバーのカーネルを保持
- ##
- ## デフォルト: multiversion = provides:multiversion(kernel) と設定されていたら全てのカーネルを保持。何も指定していなければ multiversion.kernels = latest,running
Bugzilla
Bugzilla 関連参照リンク:
チームレポート
Build Service チーム
Build Service 統計情報
- Build Service 関連の統計情報については http://build.opensuse.org をご覧になってください。
openFATE チーム
支持を集めているフィーチャーリクエスト
- 以下は、多くの賛同を集めているものの担当者が決まっていないフィーチャー (訳注: 機能の実装、追加、改変要望) です。実装を担当してくださる方を募集中です。
ダウンロードとインストールを分離 (得票数: 358)
"パッケージのダウンロードとインストールが並行して行えるようになれば、ネットワークインストールがより改善されると思います。"
起動中のスプラッシュ用に Plymouth を使う (得票数: 188)
"初めて Plymouth のことを聞いた時からこれを openFATE にリクエストしようと思ってましたが、この話を読んでますます、採用した方がいいと思うようになりました。
「起動プロセス中に起こるチラつきやモードの切り替えは全て、全体的な印象を損なうものです」という出だしで始まる Ray のコメントは特に興味深いものです。
ここで「デフォルトで GRUB を見せないようにする」という要望もまとめて論じてしまってもいいでしょうか?"
1-クリック・アンインストール (得票数: 157)
"簡単にソフトウェアを削除できる手段を!
例えば、あるアプリケーションを 1-クリックインストールで入れたとします (これにより、必要なパッケージが全てインストールされることになります)。そのような場合、その 1-クリック操作で入れたものを簡単に (ここでも 1-クリックで) 削除する手段があるべきです...言い換えると、インストールしたソフトウェアの (依存関係にあるパッケージもまとめての) 「1-クリック・アンインストール」です。"
GRUB v2 へアップデート (得票数: 139)
"GRUB 0.97 に対するバグ修正や追加機能を開発しても、もう GRUB 2 を使うからという理由でアップストリームプロジェクトには受け入れてもらえなくなってしまっています。ディストリビューションを開発するコミュニティの間ではブートローダーの切り替えには抵抗があるようですが、もはやこの膠着状態が解消する見込みはなさそうです。コード自体は綺麗だとも言えませんし、しっかりメンテナンスされているとも言えません。何か新しい機能を追加しようと思ったら、あらゆる実行時の制限をなんとか迂回したとしても、ちゃんと機能するかどうか分からない何段階もの手順を踏まなければいけなくなります。例えば、ファイルシステムの実装はメモリ管理に使える静的なバッファを持ちます。このサイズはたったの 32k です。複雑なファイルシステム、あるいはシンプルなジャーナリングファイルシステムであっても、扱う場合には問題が起こってしまいます (Reiserfs でバグをロードするのが全然終わらないといったようなケース)。というのも、ジャーナルのためにブロックマッピングを行うのに十分なメモリーが割り当てられておらず、メタデータを読み込むごとにいちいちスキャンしなければいけなくなってしまうからです。(本当に、もう。) (...)"
Popularity contest (人気投票) (得票数: 104)
"ユーザに好まれ、良く使われているパッケージについてのフィードバックが必要です。Debian には既に Popularity contest (popcon) という名前のツールが用意されています。
- popcon を再利用することで、Debian 及び Ubuntu と直接的に比較した結果を見ることができる
- パッケージャーチームはパッケージをどうしていくべきか伺い知ることができる
- YaST で使える見通しの良い設定用ダイアログが必要です
- opensuse.org 上にサーバインフラストラクチャーが必要です (いくつか個人情報絡みの問題があります。詳しくは Debian の FAQ をご覧ください)"
先週挙げられた新規フィーチャーリクエスト
- 以下は、 先週新たに挙げられたフィーチャーです。リンク先に進むと既に却下 (Reject) されてしまっているものもありますが、気になるものがあったらどうぞ投票、コメントお願いします。
DVB-USB をカーネルに追加しましょう
"どうしてだか分からないのですが、openSUSE からは DVB-USB ドライバーが落ちてしまっています。ドライバーは存在するんですが ( http://www.linuxquestions.org/questions/showthread.php?p=4265470#post4265470 など参照)、少なくとも 11.4 には入っていません。このドライバーは、設定がややこしい DVB T-スティック を使おうと思ったら必要になるものなのです。"
openSUSE 12.1 ではカーネル 3.1 を採用しましょう
"openSUSE 12.1 の RC1 が出た後一週間もしないうちの10月19日にカーネル 3.1 が出る予定になっているんですけれど、なんとかこれを採用することはできないものでしょうか。
http://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=OTY2MA
カーネル 3.1 ではいくつか以下のような注目すべき利点がもたらされる予定です - カーネルのパワーリグレッションに対するソリューション:
http://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=OTYwMQ
おそらく Intel の Cedar Trail プラットフォームもサポート対象に:
http://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=OTYyNw
改善された KVM 仮想化サポート:
http://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=OTU3NQ
fermi での Nouveau DRM サポートの改善:
http://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=OTYzNQ "
openSUSE Linux 12.1: 全パッケージを見直してパッケージのバラエティを改善…
"openSUSE Linux 12.1: システム及び (公式も非公式も含め) 全てのリポジトリから安定版、アップデートとして手に入るパッケージのバラエティを豊かにしましょう。"
openSUSE Linux: もっと世界的なものと位置づけましょう
"openSUSE Linux: もっと世界的なものと位置づけましょう。
Novell によって立ち上げられ、コミュニティにより支持されている openSUSE Linux プロジェクトの「起源」を、まさにプロジェクトの Web サイトに記載されているように「Global (世界全体)」にしましょう:
http://en.opensuse.org/Main_Page
DistroWatch を見ると Debian の起源は Global となっていて、以下のようなスローガンを掲げています:
The Universal Operating System.
openSUSE Linux ディストリビューションは世界的なディストリビューションの一つで、様々な形で利用されています: デスクトップ、コンピュータグラフィック、オーディオ & ビデオ編集、開発プラットフォーム、サーバ…更に様々なアーキテクチャーや言語で使われていて、openSUSE Linux は Debian のように DistroWatch で「Global」起源のものとして紹介されて然るべきですし、まさに openSUSE の世界を言い得ていることになると思うのです。
openSUSE Linux の新しいスローガン: Linux Global for open minds.(開かれた心のためのグローバルな Linux。)"
openSUSE Linux 12.1: 長期サポート (LTS) を提供しましょう
"openSUSE Linux 12.1: 長期サポート (Long Term Support = LTS) を提供しましょう。"
openSUSE Linux 12.1: 全仕様 (必要最小構成) を満たしましょう…
"openSUSE Linux 12.1: United Linux で挙げられていた以下の要件 (必要最小構成) を満たしましょう:
- Linux カーネル 2.4.18 以上
- GNU C ライブラリー 2.2.5
- Linux Standard Base 準拠 (LSB 4.1 (あるいはこれ以上)).
- OpenI18N (以前の LI18NUX) 準拠 (国際化及びローカライゼーション)
- GB18030 準拠 (中国で使われている標準 CJK 文字エンコーディングを採用)
- GCC 3.1
- XFree86 4.2
- KDE 3.0
国際化及びローカライゼーション (I18N と L10N) のためのテクノロジーがとりわけ大切です。これらの要件 (必要最小構成) については、全て安定していてアップデートが供給されていかなければいけません。数多ある言語の中でも、とりわけアジア圏言語のサポートを改善しましょう。"
openSUSE Linux 12.1/LXDE: マウス右クリックでファイルを作れるように…
"openSUSE Linux 12.1/LXDE 版: インストールしたシステムでデスクトッププログラムを使っているとき、右クリックからファイルを作成できるようにしてください。"
openFATE 登録フィーチャー統計情報
Testing チーム
Larry Finger: 週刊ニュース 7月16日号
"Testing コア・チームは、7月18日 17:00 UTC より Freenode の IRC チャンネル #opensuse-testing で IRC ミーティングを開催します。irc://irc.freenode.net/opensuse-testing
アジェンダとして挙がっているは、12.1 MS3 を使ってみての印象について話し合おう、というものなのですが、このリリースが入手できるのは来週になりそうなので、限られたことしか話せないかもしれません。
二番目にアジェンダとして挙がっているのは、テストの最終重要段階でテストしてくれる人がもっと増えて欲しいという願いを込め、MS6 を Beta と名称変更できないかというリクエストについてです。このリクエストは opensuse-project メーリングリストに投稿され、opensuse-testing 及び opensuse-factory 上で議論が重ねられてきました。付いたコメントの殆どは肯定的なもので、リリースマネージャーの Stephan Kulow も、その効果については疑問視しつつも名称変更についてが同意してくれました。Coolo はまた、この変更による効果がどれくらいあると見積もれるか尋ねてきました。この件について何か考えがありましたら、チーム宛にお知らせください。"
翻訳 (Translation) チーム
コミュニティ内での出来事
ようこそ! 新 Member
新たに承認された openSUSE Member をご紹介します:
イベント & ミーティング
終了分:
- 2011年7月13日: プロジェクト・ミーティング
- 2011年7月16-17日: openSUSE コラボレーション・ウィークエンド・キャンプ (ギリシャ)
- 2011年7月18日: Testing コアチーム・ミーティングCore Team Meeting
- 2011年7月19日: openSUSE Marketing チーム・ミーティング
- 2011年7月20日: openSUSE カンファレンス 2011: プログラム委員会ミーティング
- その他のイベント情報については以下をご覧ください:
コミュニケーションチャンネル
貢献者
ソーシャルネットワーク
新規/更新アプリケーション @ openSUSE
Klaas Freitag: Zippl 再び – 今回はパッケージ化しました
"私がハック週間中に取り組んでいた Zippl というプロジェクトのことを憶えてらっしゃる方もいるのではないでしょうか。ブログに書いたのはもう一年以上前のことです。Zippl というのは、同じように使えるいかしたツール prezi にちょっと似ていて、すべての「スライド」は一枚の大きなキャンバスに配置されていて、プレゼンテーションの間、カメラのようなものがキャンバスを動き回るような感じになっています。
このアイデアが気に入って、Zippl を Qt の QGraphicsView と合わせて使ってみたいと思ったのです。以前書いたブログに貼ってあるビデオで紹介しているようなプレゼン、アニメ効果を出すには、インプットとして簡単な XML ファイルを作っておく必要があります。
最初、このプロジェクトを続ける意味はないだろうと思っていたのですが、最近、Zippl をプレゼンに使ってみたいというある人から、ほとんど一年以上前に約束していた機能はもう実装済みかという問い合わせをいただいてしまったのです。信じられない話だったんですが、ということもあったので、週末の夜、ちょっと Zippl をいじってみることにしました。で、OBS で作業した方が楽だったので、ついでに openSUSE の各バージョン用の RPM もささっと作ってしまいました。
久しぶりにいじってみたら、タブレットデバイスでも使えるようにしたり、例えば始めて使ってくれた人に向けての挨拶をアニメーションで表示させたり、蟻の Tilly が新しい自転車を買うための資金を集めるのに使うちょっとしたプレゼンなどを入れ込めたら面白いんじゃないかと思うようになってきました。
試してみたいと思われるようでしたら、私の home ディレクトリからインストールしてみてください。"
ゲーム情報
- このコーナーでは、Linux で遊べる様々なゲーム & games リポジトリ更新情報等をご紹介します。
Linux Journal/Michael Reed: Linux Gaming: OpenClonk
- 今回ご紹介するのは、OpenClonk というアクションゲーム。openSUSE であれば1-クリックでインストールできますので、百聞は一件にしかず、何はともあれ遊んでみてください。
"つい最近まで、Clonk というのは、ちゃんとバックアップを取っていなかったことに気がつく前にハードディスクが立てる音のことだとばかり思っていました。ですが、ここでは、Clonk とはジャンプしたり崖をよじ登ったり武器を使ったりしながらゴールを目指していく可愛いキャラのことを指します。OpenClonk は、そもそもは DOS 用のシェアウェアとしてできたサイドビュープラットフォームゲームシリーズの最新作で、Linux で動きます。
OpenClonk はパッと見からプラットフォームゲームとして分類されますが、先を急ぐ感じではなく考えながら進んでいくタイプのゲームです。コントロールシステムはファーストパーソン・シューティングゲームから拝借していて、移動と照準合わせそれぞれのためのマウス操作はみんなが慣れている WASD キークラスターに準拠しています。 (...)" (注:1)
セキュリティアップデート
完全版のセキュリティ報告が読みたい場合、あるいは報告がリリースされたらできるだけ早く報せを受け取りたい場合は openSUSE セキュリティ・アナウンスメーリングリストを参照してください。
カーネルレビュー
- コミュニティ内外からの Linux カーネル関連ニュースです。
h-online/Thorsten Leemhuis: Kernel Log: 3.0 の新機能 (パート 4) – ドライバー
"AMD と Intel の新しいチップセットとグラフィックコアのサポートに加え、Microsoft の Kinect と DVB-T2 (訳注:Wikipedia の解説参照) のドライバーについてはもちろんのこと、Linux 3.0 はまたもや広範なハードウェアの問題を回避できるようになりました。
火曜日が開けてすぐ、Linus Torvalds は Linux 3.0 の新しいプレリリース版をリリースしました。リリースメールに曰く「とても穏やかだったけど、-rc を新たに出したいと思うには十分なほど新しいものがある」とのことです。開発者らは -rc6 が最後のリリース候補版になるだろうと言っていたのです。
Torvalds はさらなる -rc を出さないでしょうから、Linux 3.0 は今週の終りか来週の頭には登場するでしょう。Linux 3.0 がゆっくりと完成に近付いているので、Kernel Log も「3.0 の新機能」ミニシリーズをドライバーについての話で締め括ることにします。オーディオ、グラフィックス、マルチメディア、ストレージハードウェアなどのドライバーについてです。このシリーズの パート1ではネットワークドライバーとインフラストラクチャについて述べ、パート2ではファイルシステム、パート3ではプラットフォーム依存コード、仮想化、一般的なインフラについて述べました。 (...)" (注:2)
Linus Torvalds: Linux 3.0-rc7
- 毎度お馴染み、Linus からのリリースのお知らせです。でも、確か RC 版は 6 で打ち止めにすると言っていたはず。一体何があったのでしょうか?
"確か -rc6 が最後の -rc になるって言ったよね。嘘だったよ。
とても穏やかだったけど、-rc を新たに出したいと思うには十分なほど新しいものがある。それに RCU の変更に伴う問題もまだあったし。スケジューラが完全に初期化される前に RCU イベントが起きたときなんかの奴ね。そんなわけで -rc7 を出すことにしたんだ。まだ公式サイトにはミラーされてないと思うけどね。
それから -rc6 のファイルを作り直しちゃったんで (リリーススクリプトを間違えて起動したんだ)、-rc6 のパッチと tar-ball は新しいものに見えるはずだよ。お値段変わらず、も一つおまけにリリースをお届けします、というわけさ!
全体を通してそんなにいうことはない - 添付した短縮版ログには分かりやすい概略が書いてある。いくつかのドライバー (「2/3 のドライバー」といういつもの割合に戻ったみたいだ)、いくつかのメディア、それに cifs のアップデート、あと vmscan の細かいケースの処理が向上したよ。 (...)" (注:1)
Rares Aioanei: カーネル週刊ニュース – 2011年7月16日号
- 今週もおなじみカーネル週刊ニュース。Linux 3.0 のリリースは間近になったとはいえ、開発者の手が止まることはありません。この継続する熱意こそが Linux を日々育てているんですよね。その雰囲気をこのニュースから感じ取ってください。
"やあ! 今週もスタートしたし、それじゃ始めようか! :)
- - Chris Mason は btrfs の修正を (git pull)、Liam Girdwood は regulator の修正、Roland Dreier は block サブツリーのクラッシュを修正するパッチを持ってて、Kukjin Kim は Samsung 向けの修正を、Greg Kroah-Hartman は 2.6.39.3 をアナウンスして、Jesse Barnes は pci を修正して、Takashi Iwai はちょっとした修正の pull リクエストを出し、Guenter Roeck は hwmon を修正した (pull request)。 (...)" (注:1)
Tips and Tricks(ヒントや「使える」小技集)
デスクトップユーザ向け
Scribbles and Snaps: digiKam のバッチキューマネージャーと Bash スクリプトで写真を一括処理
- あまり知られていない digiKam の機能「通知とスクリプトのリンク」というのがあるそうです。何に使うのそれ? と思いますが、知恵があればどんな機能も使いようがありますよと。騙されたと思ってこの記事をご覧ください。なるほど! と思いますよ。
HowtoForge/Falko Timme: openSUSE 11.4 GNOME デスクトップ (NVIDIA GeForce 8100) の環境で Compiz Fusion を有効に
- OpenGL を用いて 3D デスクトップを実現する Compiz と、元は派生プロジェクトだったものの統合された Compiz Fusion はもはや当たり前のものになってしまいました。逆にいえば Compiz がないデスクトップは非常に見劣りしてしまいます。一方で NVIDIA の GPU については依然、プロプライエタリ版ドライバを用いないと OpenGL がうまく動かなかったりするので、せっかくの高級 GPU 搭載機なのにしょぼくなってしまいます。そこでこの記事! ドライバのインストールから Compiz を有効にしてデスクトップエフェクトを設定するところまで、スクリーンキャプチャたっぷりに丁寧に説明していますので、これを読めばすぐにグリグリ 3D デスクトップを手にできるでしょう。
Chenthill P: Exchange Web Services の オフラインアドレスブック
コマンド/スクリプト初心者向け
BashShell.net/mike: 関数を用いて環境を変える
BashShell.net/mike: 関数をライブラリで使う
- 前号では Bash 関数の基礎について学びましたが、今号はその続きとして、応用テクニックを二つほど紹介。一つは .bash_profile に関数を書くことで、何時でもその関数が使えるようになりますよという話。alias でも同じようなことはできますがもっと複雑な処理ができることがポイントですね。もう一つは *.lib というファイルに関数を切りだして、それを source コマンドで読み込む方法。どちらも短いですが有用な記事です。ついでに、こちらのクイズにチャレンジしてみてはどうでしょう? 100点取れるかな?
LinuxNov: コマンドライン | du Disk Usage コマンド | コツ
- ディスクがいくら安くなったとは言え、「冷蔵庫は常に満杯になる」の法則で、いつのまにやらディスクが一杯、なんてこともありますよね。そんなときに、どこにゴミを溜め込んでいるかを調べるツールとして使えるのが du。”Disk Usage" という名前の由来のとおり、ディレクトリ階層のどこにどれだけデータが溜まっているかを簡単に調べられます。オプション指定や、パイプを使った他のコマンドとの連携によっていろんな情報が得られるのも Unix 流儀ですね。
開発者/プログラマ向け
Sascha Manns: パッケージングをシンプルにするため三種類の Open Build Service Source Services を使う
- 皆さんもちろん OBS はご存知ですよね。openSUSE Build Service? いえいえ、Open Build Service です ;). といったジョークはさておき、では OBS Source Services というのはご存知でしょうか? 多くのバイナリパッケージングシステムは今、upstream が tarball でソースを配布する時代から、VCS にただバージョンのタグを打つだけという時代に変化しつつあるという現実に直面しています。OBS ももちろん例外ではありません。そこで tarball をアップロードする代わりに、VCS のリポジトリ URL を指定してビルドさせることができるシステム、それが OBS Source Service。この記事では OWN の編集長 Sascha が、Calligra (旧称 KOffice) のパッケージングを例に挙げてこのサービスの使い方を説明しています。
Planet SUSE
Nelson Marques: openSUSE でのアイコン付きアプリケーションのパッケージ化と「hicolor」マクロ
- 何故かアイコンが消えてしまうという報告をたまたまフォーラムで見かけた Nelson、ちょっと調べてみたらば何やらおかしなことになっていたとのこと。OBS でアイコンを伴う GUI アプリをパッケージ化している/してみたいと思っている方であれば目を通しておきたい情報になってますよ。
"フォーラムというのは素晴らしいツールで、何か面白いことが見つかるとまず最初にここに報告が挙がることが多いんですけど、多くの場合この中で完結してしまって、Bugzilla に挙がることがないんですよね。で、フォーラムに何人かから GNOME のウインドウリストで Chromium のアイコンが消えてしまうという現象の報告があったんですね。なので、パッケージをちょっと眺めてみたら、以下のようなことに気がつきました: (...)" (注:1)
Kohei Yoshida: mdds 0.5.3 リリース
- 日本人開発者として LibreOffice に深く関わっている Kohei さんからの mdds (= Multi-Dimensional Data Structure) リリースのお知らせです。mdds って何? と思ったら、是非 opensuse-ja メーリングリストなので Kohei さん本人に尋ねてみてください(笑)。いや、冗談ではなく、開発者とユーザの距離が近いことが FLOSS の醍醐味の一つでもあるわけですから。
"多次元データ構造 - Multi-Dimensional Data Structure (mdds) のバージョン 0.5.3 をリリースしましたのでお知らせします。以下をダウンロードしてみてください。
http://multidimalgorithm.googlecode.com/files/mdds_0.5.3.tar.bz2 (...)" (注:1)
Kohei Yoshida: mdds を Git に移行
- 上記にも関連しますが、この度 mdds のソースを置くリポジトリが Git ベースのものに移行したとのお知らせです。従来とは使うコマンドも異なりますので、使い方はチェックしておきましょうね。
"Google Code がついに Git をサポートするようになったとのお知らせがあったので、mdds のソースコードを従来の Mercurial から新たな Git へお引越ししてみました。古い Mercurial のリポジトリで mdds をチェックアウトしていた方は、新しい Git のリポジトリへ切り替えてください。新しい Git ベースの mdds リポジトリのチェックアウト方法についてはこちらのページを参照願います。 (...)" (注:1)
Web 上の記事から
- openSUSE に限らず Linux、FLOSS 界隈で話題となっている注目情報をご紹介します:
お知らせ
basysKom、Codero、Gluster、Nixu Open の 4 社が新メンバーとして参画
- 先日トヨタのメンバー入りが発表されたばかりですが、今度は新たに四社のメンバー入りが発表されました。発表文にもあるとおり、Linux の多様な可能性を示すメンバーの布陣となっています。
"新メンバーの顔ぶれは、業界を超えた Linux の遍在性と適応能力を象徴"
2011 年 7 月 13 日 サンフランシスコ、カリフォルニア発 - Linux の成長促進に取り組むグローバルな非営利団体である The Linux Foundation (略称: LF) は、 basysKom、Codero、Gluster、ならびに Nixu Open の 4 社が新メンバーとして参加したことを発表しました。
この 4 社は、Linux が技術革新を加速している業界を象徴しています。Linux OS は、世界の証券取引、Web サイト、スパコンの多くを強化しています。また、次世代のモバイル機器や組込みシステムの基盤でもあり、同時に、スマートグリッドなどの新技術や、IBM の Watson のように極めて視覚的な技術進化も実現しています。 (...)" (注:1)
Linux コミュニティ向けリモートデスクトップソフトウェア – Mikogo、オープンベータリリースを発表
- 例えば知り合いから「パソコン買おうと思うんだけど…」と相談を受けたとき、そのパソコンで何がやりたいのか聞いてみたら「だったら Linux で十分」と感じることってありますよね。でも、そこで気軽に Linux を勧められなくしてしまう大きな障壁となるのがサポートの問題。何か分からないことが起こった時、自分が見てあげられるのならばいいんだけど、いつもいつもというわけにもいかないし…。そんな時、いつでもネットワーク越しに相手のデスクトップに入っていけて、様子を見てあげられるようなソフトがあったら便利ですよね? Mikogo もそういった使い方ができるデスクトップ共有アプリなんですが、このたび、ベータ版ながら Linux にも対応することとなりました (Windows 及び Mac には既に対応済)。手元の openSUSE に入れてみたところ、UI もかなり日本語化が進んでおり、戸惑うことなく使えそうです。遠隔地からのサポートに止まらず、例えば小規模な勉強会のワークショップなどにリモートから参加してもらうなど、いろいろと使い道は考えられそうです。
レポート
Digitizor/Ricky: Adobe、Flash Player 11 をリリース – Linux 向け 64-bit Flash Player ついに登場
- タイトルだけで十分ですよね。64bit Linux ユーザー待望の 64bit Flash Player の登場です。まだベータですが Adobe のサイトで公開されていますよ。各ディストリビューション経由で入手できるようになるのはちょっと先のことになりそうですが、特に 64bit デスクトップユーザーの方、がんがんテストしてみてください。
Qt Labs: QtQuick.Particles 2.0
- Qt Quick は Qt フレームワークの一部として、QML という高水準の記述形式を提供する UI / アニメーションフレームワークです。今 Qt5 の開発に向けて Qt Quick は Qt Labs で日々新たな機能が追加されているようですが、一つ面白い機能が大きく進化を遂げたようですよ。その名も QtQuick.Particles 2.0! 記事の美しいスクリーンキャプチャをご覧ください。こういうものが簡単に描けるんです。実用性は分かりませんが、遊び心があっていいですよね!
Michael Gapczynski: GSoC: ownCloud で共有ファイルをコピー、カット、ペースト
レビュー/エッセイ
Datamation/Bruce Byfield: 最高の Linux デスクトップを選ぶ: KDE、Unity、 GNOME
- 次世代デスクトップ競争に口火を切ったのは KDE 4 ではないでしょうか。正直当時はマシンパワーとのバランスが悪かったりバグが多かったりして物議を醸し出しましたが、今はすっかり安定しましたよね。それに、元はネットブック用で「とにかく画面を広く使おう」というポリシーである Ubuntu の Unity、それに GNOME Shell を引っさげた GNOME 3 が参戦しました。そして依然 GNOME2 の環境も健在です。この四つのそれぞれ長所短所を比較したこの記事を読んで、いつものデスクトップからたまにはちょっと浮気をしてみては如何でしょう?
Linux.com/Joe Brockmeier: ネットブック向け Linux 五傑: 2011 版
- タブレット PC の普及、パソコン全体の価格低下ということもあってネットブック人気もやや陰りが見えているかなという気もしますが、それでも小さくて持ち運びがラクなネットブックはちょっと持ち出すのにいいですよね。そんなわけでネットブック向けディストリビューションを五つ、おなじみ Joe 'Zonker' Brockmeier が紹介。ちゃーんと openSUSE も選ばれてますよ。KDE Plasma はネットブックの小さな画面にも最適! だとか。皆さんもネットブックに Geeko を入れて持ち歩きましょう!
Debian.org: コミュニティ・ディストリビューション向け特許ポリシー FAQ
- Debian は「自由」ということを常に問い続けるディストリビューションです。ポリシーを定めて思考停止するのではなく、考え続けることで Debian 自体だけではなく FLOSS すべてをよりよくしようという偉大なプロジェクトです。そんな Debian プロジェクトが、この度「特許ポリシー FAQ」という文書を作りました。注目すべきは、このドキュメントが Debian だけのものでなく「コミュニティ・ディストリビューション向け」であるということです。ディストリビューションに限らず、FLOSS コミュニティが特許というものに対してどう向き合うかを考える、最低限の知識 (特許とは何、著作権とは何が違うの、どんな権利を守っているの、……) を与えてくれます。FLOSS に関わる人みんなが読みたい文書といえるでしょう。
Linuxaria/linuxari: Linux で自作ゲームを作る Game Editor
- ゲーム愛好家でなくてもそうでなくても、ゲームを作るというのはなかなか興味深い体験ではあります。Game Editor はそういう体験を身近にしてくれるものです。Windows、Mac OS X、Linux、Android などクラスプラットフォームのゲームを、簡単な操作で作ることができます。この記事では簡単な紹介にとどまっていますが、記事に添付してある予告編 (trailer) を見てみると、おっと思うのではないでしょうか?
フィードバック / 交流 / 仲間に加わろう
openSUSE Weekly News 日本語版について何かコメントしたいことはありませんか? もし何かありましたら、opensuse-ja メーリングリスト宛に投稿していただくか、Twitter で #ownja というハッシュタグを付けて Tweet し、お知らせください!
また、openSUSE Weekly News の編集/翻訳に興味をお持ちでしたら、 Weekly News チームのページをご参照のうえ、ご連絡ください。
Facebook には openSUSE Weekly News のコミュニティページ (英語)もあります。
交流したり、広く openSUSE コミュニティからの助けを求めるためには、IRC、フォーラム、あるいはメーリングリストが使えます。詳しくは交流ページをご覧ください。
openSUSE Weekly News 英語版 は RSS フィードで購読することも可能です。
クレジット
- Sascha Manns (英語版編集長)
- Gertjan Lettink (『openSUSE フォーラム』担当)
- Thomas Hofstätter (『イベント & ミーティング』情報担当)
- Thomas Schraitle (英語版 DocBook 指導)
- Satoru Matsumoto (英語版編集室/日本語版チーム)
- Naruhiko Ogasawara (日本語版チーム)
- Ko Kazaana (日本語版チーム)
- Yuta Hanayama (日本語版チーム)
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