Portal:15.2/Features
openSUSE Leap 15.2 とは...
SUSE では以前のバージョンと同様に Leap から SLE への移行をサポートしています。 これにより、システムの開発者は Leap を利用して開発を行ない、本番環境への配置の際に SLE に移行することができるようになりますので、何らかの認証を必要とする場合や大量配置への対応、そして長期間のサポートのメリットを受けられるようになります。また openSUSE Leap 15.2 では、 SUSE Linux Enterprise (SLE) 15 Service Pack (SP) 2 をベースとして構築された、多数のコミュニティパッケージが提供されています。このような共有型の構造は Leap 42.1 (SLE 12 SP1 ベース) から行なわれているものです。エンタープライズ向けの SUSE と コミュニティ向けの openSUSE の仕組みにより、容易にエンタープライズ環境への移行を図ることができるようになっています。
本リリースでは従来型のサーバのほか、トランザクション型のサーバを構築するための役割が提供されています。これは Kubic プロジェクトから提供を受けたもので、トランザクション型の更新と読み込み専用のルートファイルシステムが特徴となっています。これによりサーバ内のパッケージを、その環境を保持したまま一括で更新することができるようになっています。
開発者向け
Leap 15.2 は、科学計算や高性能計算 (HPC) で再現性を提供するコンテナ Singularity などの複数のコンテナ技術に対応しています。 Singularity は Leap バージョン 42.3 から提供されるようになったもので、最小限のコンテナを構築して単一のアプリケーション環境のコンテナとして動作させることができるようになっています。 Leap 15.2 ではこのほか、 Buildah, CRI-O, Podman, Skopeo など、 github.com/containers ライブラリをベースにしたツールが設定ファイルやマニュアルページを共有することのできる、 libcontainers-common も公式に提供されています。 Docker コンテナやツールを使用することで、簡単で素早い構築や提供にも対応しています。このほか、 Open Container Initiative Specifications に従ってコンテナを実行するための containerd パッケージも用意されています。それだけでなく、ソフトウエアの配置やパッケージの管理、アプリケーションの仮想化などに対応したソフトウエアユーティリティである Flatpak や AppImage を使用することで、 Linux アプリケーションをシステムから切り離して実行する機能も提供しています。
Leap では開発者に対して選択の幅を提供するよう、 Go, Rust, Haskell, C++, Ruby on Rails, Java, Python, Perl など、様々なプログラミング言語が用意されています。 Leap では libzypp, libvirt, glib, libstorage-ng など、ライブラリ側も充実しています。たとえば libvirt で共有ライブラリを構築したり、 libtool-testsuite 内にあるシェルスクリプト集を使用したり、 glib をデータ型やマクロ、型変換や文字列ユーティリティ、ファイルユーティリティやメインループの抽象化など、さまざまな汎用目的のユーティリティライブラリとして使用することもできます。
システム管理者向け
システム管理者や小規模ビジネスの世界では、 Leap を利用して Web サーバやメールサーバとして使用することができます。ネットワーク管理プロトコルである Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP) を利用してネットワークの動的な管理を行なったり、 Domain Name System (DNS) によるリソース管理や Network File System (NFS) によるファイル共有などを提供することもできます。また、ファイルとホストの共有パッケージである NextCloud なども提供されているほか、グループウエアスイートである Kopano なども Leap 15.2 の公式パッケージとして提供されています。既に Leap をお使いのユーザであれば、アップグレードにも対応していますので、 Leap 15.2 に円滑に移行することができます。また、 openSUSE Leap では メンテナンス更新 差分 RPM で提供していますので、システムを最新の状態に維持するための帯域も、最小限で済むようになっています。
YaST についてもサービスの管理をより適切に行なうことができるよう、進化を遂げています。 firewalld をテキストモードで管理することができるようになっているほか、 AutoYaST にも対応し、進化した firewalld 管理向けの新しいユーザインターフェイスが提供されています。またシステム管理者向けには、 Salt formula をよりよく制御できるようになった yast2-configuration-management モジュールのほか、ユーザ単位での SSH 鍵の管理機能の追加なども提供されています。 また YaST ではパーティション設定モジュールが進化しています。パーティションテーブルを作成せずに直接ディスク全体をフォーマットしたり MD RAID を構築したりすることができるようになっています。このほか、ソフトウエア定義の MD RAID 内にパーティションを作成したりなど、様々な組み合わせにも対応しています。もちろんこれらは AutoYaST からも使用することができます。 YaST チームの作業成果はセットアップと設定ツールの両方に組み込まれ、ディスクサイズの小さなシステムや複数のディスクの搭載されたシステムなど、 Linux のプロフェッショナル向けに様々な利便性を提供しています。
ユーザ向け
本リリースでは従来どおり KDE Plasma 5.18 Long-Term-Support 版が提供されていて、コミュニティ側でサポートしているツールやアプリケーションなども従来どおり提供されています。また、 Leap では Plasma デスクトップ向けのライブイメージが用意されているほか、 PackageHub を介して SLE 15 SP2 ユーザ向けに Plasma 5.18 LTS を提供しています。変更点の概要について、詳しくは KDE 変更履歴 をお読みください。
openSUSE Leap ではデスクトップ環境の選択だけでなく、設定やセットアップにも対応しています。 Leap 15.2 では SLE 15 SP2 で使用されているのと同じ、 GNOME バージョン 3.34 も用意されています。また GNOME では既定で Wayland を使用するようになっています。同様に GNOME デスクトップ向けにもライブイメージが用意されています。
openSUSE Leap 15.2 では、長らく期待されてきた Xfce 4.14 が含まれています。 長き (4 年間!) にわたった開発の結果、全ての中枢コンポーネントとアプリケーションが GTK 3 に移植されました。 また、既定では新しい openSUSE ブランディングが施された GTK テーマが適用されるほか、デスクトップ環境を補完するさまざまなパッケージの追加を行なうことにより、利用者にとってより親しみやすい洗練されたデスクトップになっています。詳しくは 変更履歴 をお読みください。
openSUSE Leap 15.2 には、タイル型の Wayland コンポジタ Sway が含まれています。これは X11 向けの i3 ウインドウマネージャの置き換えとして存在するものです。
Leap ディストリビューションでは健康管理や科学、研究や開発者コミュニティなどのパッケージを提供しています。たとえば GNU Health では医院内でのデータ運用支援のほか、患者のデータ収集などを支援しています。また QGIS では地理情報の作成から編集、可視化や分析、発行などの機能を提供しています。
本 openSUSE リリースでは Weblate を利用することで、 50 種類以上の言語に対応するようになっています。 openSUSE の Weblate インターフェイスでは誰にでも (専任の翻訳者からちょっとした参加者まで) 翻訳に参加できるようになっているほか、 openSUSE の翻訳を SUSE Enterprise Linux と共有するようにもなっていますので、コミュニティとエンタープライズの相互の対話を促進することができるようになっています。
Leap 15.2 では多数の人工知能 (AI) パッケージが提供されています。