Features 15.4

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目次

リリーススポットライト

このページでは、今回の openSUSE リリースで何が新しくなっているのかについて説明しています。
概要を知りたい場合は、 機能ハイライト をお読みください。

コンテナ

podman

podman はデーモンを使用しないコンテナエンジンで、お使いの Linux システムを OCI コンテナの開発や管理、実行のための環境にすることができます。コンテナは root 権限があってもなくても動作させることができます。 alias docker=podman と指定するだけです。 Leap 15.4 では SUSE Linux Enterprise とバージョンが同期され、 3.4.4 になっています。 Leap でコンテナを作成してメンテナンスし、 SLE に移行することもできます。

CRI-O

CRI-O は Kubernetes 向けの軽量コンテナランタイムです。 CRI-O は OCI に準拠したランタイムと kubelet との間を仲介する統合役として存在しています。特に OCI 準拠のランタイムを利用して Kubelet Container Runtime Interface (CRI) を実装しています。 CRI-O は CRI と同じスコープに結びついています。 Leap 15.4 では、 CRI-O 1.22.0 を提供しています。

containerd

containerd はシンプルさと強健さ、そして可搬性に力を注いだ業界標準のコンテナランタイムです。 containerd は Linux 向けのデーモンとして動作します。ホストシステムでのコンテナのライフサイクル全体を管理し、イメージの転送と保存からコンテナの実行、そして低レベルのストレージ管理やネットワークへの接続など、さまざまな処理を行います。 Leap 15.4 では、 1.4.12 を提供しています。

人工知能/機械学習

TensorFlow

TensorFlow は機械学習を行うためのエンド-エンド型のオープンソースプラットフォームです。さまざまな範囲にわたる柔軟なツールやライブラリのほか、機械学習の分野における最先端の研究を支援するためのコミュニティリソースも提供しています。これにより、開発者は機械学習の力を借りたアプリケーションを容易に構築し、配置することができるようになります。本リリースでは TensorFlow 2.6.2 が提供され、安定した Python や C++ API のほか、他の言語での非保証な後方互換性 API も提供しています。

PyTorch

Pytorch は研究時のプロトタイプ作成から本番環境への配置まで、さまざまな範囲に対して支援を提供するオープンソースの機械学習フレームワークです。 Leap 15.4 では、バージョン 1.4.0 を提供しています。

ONNX

Open Neural Network Exchange ONNX はオープンソースのエコシステムで、 AI の開発者に対してプロジェクトが必要とする正しいツールの選択を支援する仕組みです。 ONNX は AI モデルに対してオープンソースのフォーマットを提供し、深層学習や従来の機械学習に対応できるようにします。また ONNX では拡張性のある計算グラフモデルのほか、内蔵の演算子や標準データ型などの定義も行っています。

本リリースでは ONNX 1.6.x が提供され、多数のフレームワークやツール、ハードウエアで使用することができます。 ONNX では異なるフレームワーク間の相互運用性も提供し、研究開発の段階から本番運用の段階までの円滑な移行や、 AI コミュニティにおける改革の加速などを支援しています。

Grafana

Raspberry Pi で Grafana を使用することで、さまざまなソフトウエア動作に関するダッシュボードを表示することができます。 Grafana はさまざまな要件に合った問い合わせや可視化、アラートや理解の機能を提供します。チーム内でダッシュボードを作成して表示し、共有することで、データドリブンな文化をはぐくむことになります。

Grafana 7.5.12 では下記のような修正が含まれています:

Prometheus

Prometheus はオープンソースのモニタリングソリューションで、より高い次元のデータモデルを実装しています。パワフルなクエリ機能や精密なアラート、多数のクライアントライブラリにより、さまざまな要件にあったソリューションの構築を支援します。 Prometheus は完全なオープンソースで、コミュニティ主導で開発されています。

Leap 15.4 には Prometheus 2.2.3 が含まれています。修正点は下記のとおりです:

サーバ

Pagure Git ホスティングフォージサーバ

Pagure は使いやすくてカスタマイズ性に優れた軽量型の独自 git リポジトリサーバソリューションです。他の git ベースのサーバと同様に、開発者や貢献者の間でコードその他を共有することができますが、非集約型の分散ソフトウエアコードホスティング環境としていくつかのユニークな機能を備えています。

Leap 15.4 では Pagure バージョンはそのまま 5.13.2 になっています。バージョン 5.5 や 5.10.0, 5.13.2 からのアップグレード手順については、 "/usr/share/doc/packages/pagure/UPGRADING.rst" ファイルをお読みください。

GNU Health

GNU Health は Tryton サーバ向けのモジュール集です。 GNU Health HMIS は下記のような機能を提供します:

  • Hospital Management Information System (HMIS)
  • Electronic Medical Record (EMR)
  • Health Information System (HIS)
  • Laboratory Information System (LIS)

GNU Health は受賞歴のある健康/医院管理システムで、本バージョンでは 3.8.0 が提供されています。 COVID-19 パンデミック追跡への対応のほか、更新された ICD-10 コードや改善された実験室機能などがあります。また新しい Dentistry パッケージも使用することができます。また、フリーな PACS サーバである Orthanc との直接インターフェイスも用意されています。

Leap 15.4 には、フェデレーションサーバ, MyGNUHealth, Personal Medical Record も含まれています。

Orthanc

Orthanc はリエージュ大学で開発されたフリーな画像アーカイブ/コミュニケーションシステム (PACS) です。 MRI や X-線画像など、一般的に DICOM 形式で配信される全ての医療画像形式を処理することができます。

本バージョンには Orthanc バージョン 1.10 のほか、プラグインや WebViewer, データベースバックエンドやインデクサ、 TCIA (The Cancer Image Archive) も含まれています。

デスクトップ環境

Xfce

Xfce 4.16 では新しく大きな機能が提供されています。 Xfce の本リリースでは新しいビジュアルアイデンティティとして、アイコンやパレットなど、インストール当初から美しさを表すようになっています。また Settings Manager ではフィルタボックスの視覚が一新され、恒久的に隠すことができるようになりました。フィルタボックスの検索機能は、各ダイアログのランチャー (.desktop ファイル) の 'Comments' (コメント) パートも検索できるようになりました。電源マネージャの設定ダイアログはより分かりやすいものになり、 'バッテリー動作中' か '電源接続中' かが明確に識別できるようになりました。

既定のアプリケーションでは新しいダイアログになり、以前は 'MIME 設定' と 'お気に入りアプリケーション' として別々のダイアログだったものが統合されるようになっています。これにより、ファイルタイプやそれに対応するアプリケーションを簡単に選択できるようになっています。このほか高解像度ディスプレイへの対応やさまざまなサイズおよび密度への対応のため、 4.16 には X11 の RandR 拡張をベースにした小数点単位の拡大率設定に対応しています。ディスプレイのモードと縦横比の推奨値には、アスタリスク (*) が付くようにもなっています。

Thunar におけるコピーおよび移動のダイアログでは、容易に処理を一時停止できるようにもなっています。このほかファイル転送のキュー設定や、フォルダごとの表示設定、 Gtk テーマでの透過表示への対応なども追加されています。パネルではいくつかの注目に値する更新が提供され、 autohide や intellihide の際のアニメーション表示や従来の systray アイテムと StatusNotifier アイテムの両方に対応した新しい 'Status Tray' プラグイン、そしてダークモード対応やランチャーでの右クリックでの追加アクションの表示や '新しいインスタンスの起動...' のためのウインドウボタンなど、さまざまな機能が追加されています。

KDE

Plasma

Plasma 5.24 LTS は KDE Plasma チームが提供する長期サポート版です。 Leap 15.4 にはこの新しい LTS 版が含まれています。 Plasma 5.24 には外観と使いやすさ、そして安定性に対するいくつかの改善が含まれています。

Ken Vermette 氏が Plasma 5.24 向けに壮大で新しい壁紙を作成しています。 Honeywave の壁紙については YouTube でストリーミング しています。

次にユーザが気づくとすれば、 Plasma の既定のテーマである Breeze の変更でしょう。アプリケーションに対して Breeze のスタイルがよりマッチするように視覚的な新しさが追加されていて、一貫性が保たれるようになっています。

また色スキームの変更では、標準化された FreeDesktop の明色/暗色スキーム設定を切り替えることができるようになっています。これにより、 KDE 以外のアプリケーションもこの設定を自動的に取り込むようになりますので、選択したテーマにあわせた配色ができるようになっています。また、グローバルなテーマでは KDE の Latte Dock の配置を指定および変更できるようにもなっています。

通知

重要な Plasma 通知を目立たせるため、緊急性の高いメッセージにはオレンジ色のストリップが横に表示されるようになっています。それと同時に、全ての通知に対するヘッダとタイトルラベルの濃淡と視覚性を調整して、より読みやすい表示になるようにしています。

その他の視覚面の改善としては、映像ファイルに関する通知では静止画ではなく映像のサムネイルを表示するようになっています。

システムトレイとウイジェット

外観や情報の関係性、そして情報の閲覧性を改善するための新しい機能や改善が多数行われています。たとえばデジタル時計の時刻オプションとして日付の表示を追加しているほか、天気予報ウイジェットではトレイに初めて追加する際に、利用可能な全ての情報源を検索するようになっています。バッテリーと明るさのウイジェットはより分かりやすい表示になっているほか、バッテリーが存在しない場合の表示もわかりやすくなっています。また、クリップボードとネットワークのウイジェットでは、キーボードだけでの操作もできるようになっています。

システム設定

バージョンが新しくなるごとに、 KDE の開発者とデザイナーはシステム設定を簡単に素早く扱えるようにしています。このような細かい改善点がシステム設定それ自身に含まれるようになっています。開発者は検索のテキストボックスの隣に表示されていたものをハンバーガーメニューに移動させたため、ウインドウを多数表示させてデスクトップが乱雑にならないようにしています。

フレームワーク

KDE フレームワークは 70 種類以上ものライブラリから構成されています。フレームワークバージョン 5.90.0 はゴールドマスターとして提供予定のもので、新しい KDE フレームワークは Baloo, Breeze Icons, KAuth, KActivities, KConfig, KIO, Kirigami, KWidgetsAddons, KWayland, Oxygen Icons など、さまざまなパッケージに変更を行っています。主な変更点は下記のとおりです:

アプリケーション

KDE Gear (アプリケーション) はバージョン 21.12.2.1 に更新されています。このバージョンではミュージックプレーヤの Elisa に対する更新が含まれ、ファイルマネージャ Dolphin でのタグ検索のほか、 KDE の高度なビデオ編集アプリケーションである Kdenlive での編集の高速化などが実現されています。

GNOME

Leap 15.4 では GNOME 41 が含まれています。 GNOME 41 は GNOME プロジェクトの 6 ヶ月間の作業の成果で、主な改善点や新機能がいくつかと、細かい拡張が多数含まれています。

本リリースで最も目立つ変更としては、ソフトウエアアプリの改善や新しいマルチタスク設定、そして拡張された電源管理機能があります。これらの変更により、 GNOME は従来よりも賢く柔軟で、リッチかつ魅力的なものに仕上がっています。

この新しいリリースでは、開発者向けの大きな改善も含まれています。新しい開発者向けのドキュメンテーション Web サイトのほか、ヒューマンインターフェイスガイドラインや Builder IDE, GTK 4 の改善など、さまざまなものが含まれています。

また、 GNOME 翻訳チームの貢献により、 GNOME 41 は 38 種類もの言語に対応しています。

GNOME 41 は GNOME の新しいバージョン番号体系における 2 つめのリリースとなります。

新しい Software の外観

GNOME 41 では Software に対する大がかりな変更が含まれています。これにより外観が大きく改善されています。

  • 更新された検索ビューでは、各アプリケーションの説明やより対話的なタイル表示により、アプリがより探しやすくなっています。
  • 新しいカテゴリセットの提供により、アプリがより詳しく分類されるようになっています。
  • 詳細ページが新しいデザインになり、スクリーンショットがより大きく表示されるほか、新しい情報タイルによって各アプリケーションをより詳しく知ることができるようになっています。

Software ではほぼ全ての箇所に対して何らかの改善が行われています。たとえば設定画面の改善のほか、インストール済みや更新を表す直感的な配置や OS のアップグレード表示など、さまざまなものが含まれています。

変更は奥深くでも行われていて、多数の修正や改善が含まれています。これにより、より分かりやすく柔軟な構造に仕上がっています。

マルチタスク

GNOME 41 では新しいマルチタスク設定パネルが用意され、ウインドウやワークスペースの管理機能が提供されるようになっています:

  • ホットコーナーでのアクティビティの無効化
  • 画面端の無効化
  • ワークスペース数の固定設定
  • 全てのディスプレイに対するワークスペースの表示 (プライマリのみではなく)
  • 現在のワークスペースのみでのアプリケーション切り替え (Super+Tab キーボードショートカット)

新しい Connections アプリ

GNOME 41 には新しいリモートデスクトップクライアントとして Connections が含まれています。モダンで使いやすいリモートデスクトップ接続アプリで、詳細な設定はできる限り自動的に処理できるようになっています。プロトコルとしては VNC, RDP の両方に対応しています。

Connections は従来の Boxes を置き換えるアプリケーションです。

モバイル設定

GNOME 41 には新しいモバイルネットワーク設定パネルが含まれています。 2G, 3G, 4G, GSM/LTE モデムなどを含め、さまざまなネットワーク接続を設定することができます。

新しいモバイルネットワーク設定は、対応するモデムが接続されている場合にのみ表示されます。ここではネットワークの種類のほか、使用すべきモバイルデータの選択やローミング時の処理方法などを設定することができます。複数の SIM やモデムを扱うこともできますし、ネットワーク間の切り替えも簡単です。

なお、新しい設定は従来の設定を置き換えるようになっています。

性能改善

GNOME は性能や応答性、スムーズさ等を改善するため、継続的に作業を行っています。 GNOME 41 にはこの分野に対するさまざまな改善が含まれています。

  • GNOME 41 での効率性向上として、キーボードやポインタの入力に対してより素早い応答を行うようになっています。この変更は Wayland セッションを使用している環境にのみ適用され、ディスプレイによってはより認識しやすくなっています (低いリフレッシュレートの場合に特に有用です)
  • システムレベルのマルチタッチジェスチャーは、より信頼性が高く安定した動作になっています。
  • GTK 4 が新しい既定の GL レンダラになっています。これにより、描画を高速化して消費電力を減らすことができています。
  • 最後に GNOME のウインドウマネージャである Mutter では大がかりなコードクリーンアップが行われ、長期間のメンテナンス性や効率性を追求したものになっています。

Enlightenment

Leap 15.4 では Enlightenment 0.25.3 が提供され、統合型のミキサー設定や新しいデスクトップテーマなど、さまざまなバグ修正や新機能が含まれています。

MATE

MATE デスクトップはバージョン 1.26 に更新されています。多数のバグ修正や新機能が含まれています。詳しくは 提供元 のページをご覧ください。

Deepin デスクトップ

Leap 15.4 では Deepin Desktop Environment 20.3 が提供されています。 openSUSE でのインストール方法については、 ユーザガイド (英語) をお読みください。

Deepin Desktop Environment (DDE) は deepin Linux ディストリビューションのデスクトップ環境で、 Wuhan Deepin Technology Co.,Ltd. によって設計されています。 DDE はデスクトップ環境のほか、ウインドウマネージャやコントロールセンター、ドックなどから構成されています。

一般的な改善点

sudo

Leap 15.4 では sudo 1.9.9 が含まれています。新バージョンでの変更点は下記のとおりです:

  • OpenSSL 3.0 では廃止予定とされている古い API に対する警告が表示されなくなっています。
  • LDAP や SSSD バックエンド内の ALL コマンドに対してダイジェスト値を設定することができるようになっています。 Sudo 1.9.0 では既にこれに対応していましたが、他のバックエンドでは対応していませんでした。
  • visudo では別名が定義されていなかったり、別名の循環参照が発生している場合にのみ警告を表示するようになりました。
  • sudoRole cn は警告メッセージ内で 1 文字に切り詰められるようになりました。 github issue #115 への対応です。
  • cvtsudoers ユーティリティに --group-file および --passwd-file というオプションが追加され、 --match-local オプションを使用した際に独自のパスワードファイルやグループファイルを使用できるようになりました。
  • cvtsudoers ユーティリティでコマンドベースのフィルタおよびマッチングができるようになりました。
  • cvtsudoers ユーティリティで csv (カンマ区切り) 形式での出力ができるようになりました。主に権限レポートを生成するための機能となります。
  • 非常に長いコマンドラインを指定した場合、 sudo_logsrvd が接続を切ってしまうバグを修正しました。
  • sudo_logsrvd がゼロ復元ポイントを受け付けないバグを修正しました。
  • ユーザの EDITOR 環境変数と合致しない場合、エディタ設定値が使用されなかった visudo のバグを修正しました (Bug #1000)
  • sudo を -fcf-protection コンパイラオプション付きでコンパイルできるようになったほか、サポートしていれば -z がリンカオプションとして使用されるようになりました。
  • sudoreplay -l の出力が従来の sudo ログ形式により近い形式になるようになりました。
  • LDAP, SSSD の各バックエンドで sudoUser 属性の否定設定に対応するようになりました。 sudoUser の否定マッチングに合致すると、含むルールが無視されるようになります。

Linux カーネル

Leap 15.4 ではバージョン 5.14.21 の Linux カーネルを使用しています。 Leap でのカーネルは SUSE Linux Enterprise 15 Service Pack 4 と同じカーネルです。このカーネルは SUSE がメンテナンスしています。

ハードウエアサポート

Leap 15.4 は x86_64, aarch64, PowerPC (ppc64le), s390x の各アーキテクチャで動作します。物理マシンのほか、仮想マシンのホストやゲスト、クラウドなどにインストールすることができます。

GNU コンパイラコレクション (gcc)

systemd

Leap 15.4 には systemd バージョン 249.10 が含まれていて、さまざまなバックポート修正や更新が含まれています。このシステム/サービスマネージャは Linux システムにおける基本構造を提供するもので、 PID 1 で動作してシステムのその他の起動処理を行います。

systemd は積極的な並列処理機能を提供し、ソケットや D-Bus のアクティベーション処理を利用してサービスを起動するほか、必要時のデーモン起動や Linux のコントロールグループを利用したプロセス追跡、マウント処理やマウントポイントの管理、複雑なトランザクション依存関係ベースのサービス制御ロジックを提供しています。このほか systemd では SysV および LSB の初期化スクリプトにも対応していますので、 sysvinit の代替としても使用することができます。

systemd ではこのほかに、ログ記録デーモンやホスト名/システム日時/ロケールなどを制御するためのユーティリティや、ログインユーザの一覧やコンテナ/仮想マシン、実行時ディレクトリや設定、シンプルなネットワーク設定や時刻同期、ログ転送や名前解決などの管理機能も提供されています。

Mesa

Mesa 21.2.4 はバグ修正リリースです。

セキュリティ/ネットワーク/プライバシー

AppArmor

AppArmor パーサは、 AppArmor セキュリティカーネルモジュールに対してプログラムプロファイルを読み込む際に使用するユーザレベルプログラムです。 AppArmor 3.0.4 は Leap 15.4 におけるメジャーリリース更新です。プロジェクトのカーネル部分は別途に管理および更新されます。

Tor

TCP 向けの匿名化オーバーレイネットワークです (The Onion Router の略です) 。

Tor は接続ベースの低遅延匿名通信システムです。このパッケージには "tor" と呼ばれるプログラムが含まれていて、このプログラムはクライアントとしても中継ノードとしても動作します。インストール時のスクリプトでは "tor" というユーザとグループを自動的に作成し、システムの起動時にデーモンとして動作するように設定されます。アプリケーションはローカルの Tor プロキシに対して SOCKS プロトコルで接続を行い、 tor クライアントは複数の中継を経由するように設定されます。中継では中継元と中継先の情報のみが伝えられますが、それ以外の情報は伝えられません。また、この通信経路を経由する通信は各中継サーバで対称鍵による暗号化が行われます。警告: Tor ではプロトコルクリーニングは実施していません。そのため、アプリケーションプロトコルや関連するプログラムが、発信者に関する情報を明らかにするよう誘導される危険性があります。 Tor は Privoxy や類似のプロトコルクリーナを利用してこの問題を解決しています。また、これはアルファ版のコードであり、匿名性を台無しにしてしまうようなバグが存在する可能性があることに注意してください。さらに、現時点でのネットワークは小さいため、提供される匿名性の強度も弱いことに注意してください。 Tor は強い匿名性を必要とする用途には不適切です。

パッケージマネージャ

DNF パッケージマネージャ

DNF は次世代の依存関係解決器および高レベルなパッケージ管理ツールであり、 YUM (Yellowdog Updater, Modified) と libsolv という 2 つのプロジェクトの後継でもあります。 DNF は数年前に YUM から分離独立してできたもので、 libsolv を利用するように書き直されているほか、多数のコードベース改善によって DNF の拡張 (プラグインやフック) に関する正当な API が提供されるようになり、 API を利用したアプリケーション (たとえばグラフィカルなフロントエンドやシステムのライフサイクル自動化フレームワークなど) も容易に作成できるようになりました。 Leap 15.4 ではバージョン 4.10.0 になっています。

DNF は YUM と比べると、 Python API の管理や文書化が進んでいて、問題点の報告が拡張されているほか、弱い依存関係の追跡がより高度になっていたり、依存関係のサポートが広がっていたり、処理の実行時のトランザクション情報がより詳しく表示されたりなど、さまざまな改善が図られています。

DNF Python API は安定していてサポートも提供されていますが、 libdnf や hawkey API (C/C++, Python の各言語に対応) については不安定で、将来バージョンでは変更される場合があります。

これに加えて、 DNF の軽量 C 言語実装版として "Micro DNF" も用意されています。これは完全機能版の DNF を必要としない、シンプルなパッケージ管理に使用されるよう設計されているもので、できる限り簡易に動作するようになっています。特にコンテナやアプライアンス内での利用に最適です。

このほか、 DNF を使用する 実験的な 代替 PackageKit バックエンドも利用できます。

主な新機能:

  • 既定で有効化される "sticky vendors" 機能への対応。 /etc/dnf/dnf.conf 内に "allow_vendor_change=True" を設定することで無効化できます。
  • Micro DNF および PackageKit でのトランザクション型更新への実験的なサポート。この機能は、 KIWI イメージ構築ツールでイメージを作成する際に必要となります。
  • DNF を利用したオフライン更新への実験的なサポートも利用できます。
  • 実験的な "opensuse/leap-dnf" および "opensuse/leap-microdnf" ベースコンテナも利用できます。

DNF は、現時点では openSUSE のリポジトリをソフトウエア管理に使用するよう設定されていません。しかしながら、 "libdnf-repo-config-zypp" パッケージを利用することで、 YaST や Zypper パッケージマネージャで使用されているリポジトリ設定を DNF で利用することができます。このほか、 "rpm-repos-openSUSE-Leap" パッケージには、 Zypper/YaST とは別に独自の安定したリポジトリ設定が含まれています。

なお、 Leap から Tumbleweed へのアップグレードは、 "rpm-repos-openSUSE-Tumbleweed" をインストールし、 "dnf --refresh offline-distrosync" を利用した場合にサポートされるようになっています。 "libdnf-repo-config-zypp" または "rpm-repos-openSUSE-Leap" がインストールされている場合は、 "dnf install --allowerasing rpm-repos-openSUSE-Tumbleweed" を実行することでアップグレードを行うことができます。

生産性

印刷システム

CUPS

CUPS は標準化されたプロトコルを利用するオープンソースの印刷システムです。 CUPS はインターネット印刷プロトコル (Internet Printing Protocol (IPP)) を利用して、ローカルやネットワークのプリンタに印刷データを送信します。 CUPS 2.2.7-3.20.1 では、スケジューラ内でのバグ修正のほか、 IPP の任意箇所でのサポート、 CUPS ライブラリや USB プリンタサポートなどが含まれています。

アプリケーションスイート/金融関係/DTP

Libreoffice

LibreOffice はフリー/オープンソースのオフィススイートで、 The Document Foundation のプロジェクトでもあります。 LibreOffice は広範囲な機能を提供するオフィスパッケージで、ワードプロセッサや表計算、プレゼンテーションなどのオフィス機能を提供します。

Leap 15.3 での LibreOffice についての新機能について、詳しくは リリースノート (英語) をお読みください。

LibreOffice 7.2.5 は LibreOffice の新版で、新機能やプログラムの拡張など、各種の興味深い機能が追加されています。

Write

一般的な改善点は下記のとおりです:

アルファベット順の索引や目次、ユーザ定義の索引がそれぞれハイパーリンクを生成するようになりました (commit 7685c074)
すべての背景色がマージン内のページをカバーするか、ページ全体にすることができるようになりました (commit 56d8007a)
ページスタイルに 綴じ代余白 の設定ができるようになりました
参考文献の改善: 参考文献内で項目ごとのツールチップとクリッカブル URL が設定できます
フィールドがナビゲーターサイドバー内に表示されるようになり、 "項目" や "項目タイプ" を選択できるようになりました

Calc

一般的な改善点は下記のとおりです:

フィルタされたセルや転置を伴う貼り付けで発生していた問題を解決しました。これらの問題に対する多数の単体テストも追加されています (tdf#107348, tdf#45958, tdf#141215, tdf#141683, tdf#68976, tdf#71058, tdf#142065, tdf#142201, tdf#141683)
日本語ロケールに合わせた年号表示に対応しました。
'fat-cross' カーソルが追加されました。有効化するには ツール ▸ オプション ▸ Calc ▸ 表示 で "テーマ" にチェックを入れてください (カーソルがアイコンテーマに従うようになります); 従来の矢印ポインタのままにしておきたい場合は、システムを選択してください。

オートフィルタの改善

   Calc が自動フィルタで行をフィルタした場合、行番号が青色になるようになりました
   Calc が有効なオートフィルタのドロップダウン矢印をハイライト表示するようになりました

Impress および Draw

一般的な改善点

既定のテンプレートセットが更新されました。
削除: Alizarin, Bright Blue, Classy Red, Impress, Lush Green (4.4 で提供されていたもの)
追加: Candy, Freshes, Grey Elegant, Growing Liberty, Yellow Idea
すべての背景色がマージン内のページをカバーするか、ページ全体にすることができるようになりました

ユーザインターフェイス

Draw では文書のスケーリング比をステータスバーから直接操作できるようになりました
PNG, JPG でのエクスポートダイアログが更新され、比率と解像度を明確に区別できるようになりました

Skrooge

Skrooge は個人資産を管理するためのパワフルなソフトウエアです。経費の入力から追跡、そして分析まで、数多くの機能を提供します。 Leap 15.4 では 2.27.0 にバージョンアップされています。このバージョンでの変更点は下記のとおりです:

  • バグ 440271 の修正: 2.26.1 では廃止予定の /etc/xdg/ ディレクトリ内に skrooge_unit.knsrc をインストールしていました。
  • バグ 446353 の修正: "表示" テーブルフィルタ内の操作では数値や範囲の項目に移動できないことがありました。
  • バグ 446915 の修正: Ofx を利用した Woob のインポートの問題
  • 修正: 稼働の無い週がレポート内に表示されていませんでした
  • 修正: アニメーション中にダッシュボードが閉じられるとクラッシュしていました
  • 機能: 単位の値をマイナスにできるようになりました (参照: https://forum.kde.org/viewtopic.php?f=210&t=173318)
  • 機能: Skrooge は LC_MONETARY 環境変数を参照するようになり、通貨記号を自動的に取得するようになりました

Scribus

Scribus (/ˈskraɪbəs/) はオープンソースのデスクトップ出版ソフトウエアで、配置や組版、ファイルの準備などをプロフェッショナル品質で出力できるアプリケーションです。 Scribus はアニメーション付きの対話的な PDF プレゼンテーションのほか、フォームや新聞、パンフレットやニュースレター、書籍やポスターなどの作成にも対応しています。 Leap 15.4 では Scribus 1.5.8 にアップグレードされています:

  • ダークモードの場合の UI 改善とアイコンやウインドウ対話性の改善
  • ファイル取り込み機能の改善 (IDML, PDF, PNG, TIFF, SVG)
  • PDF エクスポート機能の改善
  • テーブルに対応するための改善 (undo/redo, スタイル)
  • ストーリーエディタへの改善
  • ビルドシステムの改善
  • 翻訳の更新

電子メールクライアント

ThunderBird

Mozilla Thunderbird はフリーな電子メールアプリケーションで、設定やカスタマイズを簡単に行うことができる優れた機能が特長です。 Leap 15.4 では Thunderbird の拡張サポートリリース版 91.7 が提供されています。 Thunderbird はさらに高速化され、巨大な 1 つのプロセスを動作させる代わりに、複数の小さなプロセスを動作させるマルチプロセス型に移行しています。それ以外にも多数の変更が行われていますが、まとめると Thunderbird 91 で非常に高速化されていることになります。この Thunderbird では会議招待の表示も自動的に展開されます。それ以外の変更点は下記のとおりです:

  • CalDAV 接続での "セキュリティ例外の確認" でポート番号が表示されなかった問題の修正
  • 状況によっては起動時にメールがダウンロードされなかった問題の修正

Evolution

Evolution はモジュール型のコンポーネント (現時点ではメール/カレンダー/アドレス帳) から構成されているアプリケーションで、日々の暮らしをより簡単にするためのアプリケーションです。モジュール型の設計であることから、新しいコンポーネントを追加するのも用意であるほか、他のアプリケーションへの組み込みにも対応しています。

Roundcube

Roundcube 1.5.1 はブラウザベースの多言語対応 IMAP クライアントで、アプリケーションに似た使い心地を提供するアプリケーションです。 MIME サポートのほか、アドレス帳やフォルダ操作、メッセージ検索やスペルチェックなどの機能が用意されています。 Roundcube Webmail は PHP で記述されていて、 MySQL データベースを使用します。ユーザインターフェイスは XHTML と CSS 2 を利用することで変更することもできます。

ブラウザ/Web 検索

Chromium

WIP - This will likely be Chromium 99. Waiting for RC.

Leap 15.4 では Chromium 98 が同梱されています。 Chromium は Google Chrome のベースとなるオープンソースプロジェクトで、すべてのインターネットユーザに対してより安全で高速、かつ安定したビルドシステムへの招待を行い、 Web での体験性をより高めて次世代の Web アプリケーションの開発を支えています。

Firefox

Mozilla Firefox は単独で動作する Web ブラウザで、標準への準拠と性能向上に力を入れています。機能面は拡張の導入によっても増やすことができます。 Firefox 拡張サポートリリース (ESR) バージョン 91 では、ユーザに対する新機能のほか、新しい Web サービスへの対話成功条などが含まれています。

GNOME Web ブラウザ

Epiphany は GNOME デスクトップ向けの Web ブラウザで、シンプルさと標準への準拠を原則としています。

アプリケーション

マルチメディア

テレビやミュージックやビデオなど、 Leap 15.4 では生活をより豊かにするためのマルチメディアアプリケーションもいくつか用意されています。 Leap では真似地メディアコーデックのインストールも簡単で、 Cisco 社の提供する openh264 もシステムの既定のリポジトリ内に用意されています。 TV の閲覧や音楽の作成/聴取のほか、ミュージシャンの活動を追いかけることもできます。 Leap では下記だけでなく様々なパッケージが用意されています:

Amarok

Amarok はすべての種類のメディアに対応したメディアプレーヤです。 MP3, Ogg Vorbis やオーディオ CD 、ポッドキャストやストリームなどへの対応も行われています。プレイリストは .m3u や .pls ファイル内に保存することができます。

Audacious

Audacious はオーディオプレーヤです。 Qt をベースにしていて、様々な種類のオーディオコーデックを扱うことができます。 Winamp 2.x スキンをベースにしたスキンインターフェイスにも対応しています。なお、このソフトウエアは XMMS のフォークのフォークとして開始されたものです。

Brasero

Brasero は CD/DVD への書き込みを行うための GNOME デスクトップ向けアプリケーションです。データ CD/DVD であればマルチセッションのほか、 Joliet 拡張やオンザフライイメージ生成にも対応しています。ファイルマージャ機能は不要なファイルを自動的に無視しますし、レッドブック対応のオーディオ CD であれば CD-TEXT や Ogg/FLAC などからのリアルタイム変換やトラック間ギャップの生成にも対応しています。 Brasero はディスクイメージからの書き込みやディスクイメージの生成にも対応しているほか、 BIN/CUE にも対応しています。

Elisa

Elisa はアルバムやアーティストなどを参照することのできるミュージックプレーヤです。プライベートなインデクサか Baloo を利用して索引を作成することができますし、プライベートなインデクサであれば選択したパス内のすべてを検索することもできます。 Baloo が提供する仕組みであれば、データベースを使用する構造であることから、非常に高速に動作します。プレイリストの構築や再生にも対応しています。

GNOME MPV

Simple GTK+ frontend for MPV. GNOME MPV is a simple GTK+ frontend for MPV.

Hydrogen

リアルタイムなドラムマシン/シーケンサ Hydrogen は単独で使用できるソフトウエアシンセサイザで、パターンをベースにしたドラムマシンを疑似することができるほか、外付けの MIDI キーボードやシーケンサソフトウエアを介して制御することもできます。モジュール型で Qt4 をベースにしたグラフィカルなユーザインターフェイスを備え、サンプルベースのステレオオーディオエンジンを持ち、 PCM 形式でのサウンドサンプルを取り込むこともできます。これに加えて、曲としてパターンをつなげることのできるパターンベースシーケンサにもなります。パターンごとに最大で 64 種類のティックを設定できるほか、イベントごとに個別のレベルを設定したり、パターン長を任意に設定することもできます。また、 32 種類のインストルメントトラックに音量を設定したり、無音やソロ、パンなどの機能も用意されています。また、インストルメントに対してマルチレイヤを設定することもできます (各インストルメントごとに最大 16 サンプル) 。このほか、速度や時間、ピッチやスイング機能も実装されています。

VLC

VLC 3.0.11.1 は以前のバージョンにおいて特定のプラットフォームで発生していた問題の再発を解決しているほか、 HLS ストリームの再生機能の改善や WebVTT サブタイトルや UPnP 検出の機能が改善されています。

修正

  • HLS で再発した問題の修正
  • macOS の起動時に発生しうる問題の修正
  • m4a ファイルでの不正確なシーク処理の修正
  • Android でのリサンプリングの修正
  • macOS での bluray マウントポイントの一覧出力時に発生するクラッシュ問題の修正
  • macOS での不要なバーミッション警告の回避
  • macOS で再生を一時停止した際に恒久的に無音化してしまう問題の修正
  • AAC 再生の問題再発の修正
  • セキュリティ問題の修正

Sway

Sway 1.6 はタイル型の Wayland コンポジタで、 X11 向けの i3 ウインドウマネージャの直接の代替です。すでに i3 の設定をしていればそれをそのまま使用できますし、 i3 のほとんどの機能に対応しているほか、追加の機能もあります。

Tilix

Tilix は高度な GTK3 タイリング端末エミュレータで、 GNOME のヒューマンインターフェイスガイドラインに準拠したソフトウエアです。本リリースにはバージョン 1.9.4 が含まれ、下記のような新機能とバグ修正が含まれています:

新機能:

* Yaru カラーテーマのインストール
* 各タブの ${title} 設定 ("Default" の代替)
* 貼り付け時の行末空白の削除オプションの追加 (#1904)

バグ修正:

* 保存済みのセッションの再保存省略
* "すべて選択解除" のショートカット追加
* 多くの Meson ビルドシステム修正
* URL のエンコーディング時に直前のコマンド終了コードを失う問題の回避
* いくつかの D 廃止予定メッセージの解決
* README 内での powerline/fonts への言及
* 共有オブジェクトに対する `values()` 呼び出しの回避
* metainfo データの更新
* 古い D フロントエンドバージョン向けの互換コード削除
* 最小 VTE バージョンの 0.46 への移行
* 古い autotools サポートの削除
* リリースノート、 NEWS ファイル、自動 metainfo 更新の追加
* GtkD 3.9.0 への更新

グラフィックおよび写真/ビデオ編集

Blender

Blender (2.82a) は 3D モデリング/レンダリングパッケージです。高品質なアニメーションスタジオでの内製ソフトウエアであることから、非常に高速で多用途なデザインアプリケーションとして使用することができます。ソフトウエア自身は個人用の様相を呈していますが、三次元世界へのアクセスはユニークなアプローチをしています。 Blender は TV コマーシャルや技術的な視覚化、ビジネスグラフィックやモーフィング、ユーザインターフェイスの設計などに使用することができます。このほか、複雑な環境を容易に構築して管理することもできます。レンダラは多用途で非常に高速です。すべての基本的なアニメーション原則 (キーとカーブ) も十分に実装されています。このほか、モデリングやスカルプティング、テクスチャリング (ペインティング、ノードベースのシェーダマテリアル、 UV マップ) やリギング、コンストレイントやウエイトペインティング、パーティクルシステムやシミュレーション (流体、物理、ソフトボディダイナミクス、外部 crowd シミュレータ) 、レンダリングやノードベースのコンポジティング、非線形のビデオ編集だけでなく、リアルタイムな対話型 3D ゲームエンジンが内蔵されていたり、それらをプラットフォームをまたいで動作させることもできます。

ImageMagick

Leap 15.4 にはバージョン 7.1.x が含まれています。 ImageMagick は TIFF, JPEG, PNG, PDF, PhotoCD, GIF など、多数の画像形式に対応した読み込み/書き込み/操作ツールおよびライブラリ集です。 ImageMagick を使用することで、画像を動的に作成することができますので、 Web アプリケーションでの画像生成やコマンドラインでの画像生成、そして C, C++, Perl ベースのプログラミングインターフェイスを介した画像生成にも対応しています。

Kdenlive

Kdenlive はオープンソースのビデオ編集ソフトウエアです。開発者の小さいチームで管理されていて、公式の KDE プロジェクトの一部としても存在しています。このバージョンではプレビュースケーリング機能による速度の改善のほか、新しいレーティング機能やタグ/ソート機能、プロジェクトビン内でのクリップフィルタリングなどの機能が用意されています。さまざまな輝かしい機能だけでなく、このバージョンでは 40 種類もの安定性の問題が解決されているほか、ユーザエクスペリエンスの大きな改善も行われています。

RawTherapee

RawTherapee はパワフルでクロスプラットフォーム対応の raw 画像処理システムで、フリーソフトウエア (GPLv3) として公開されているものです。 raw ファイルをさまざまなデジタルカメラの出力から生成し、デジタル画像処理がどのように動作しているのかを知りたい初心者から、プロフェッショナルの写真家まで、さまざまな人に向けられています。 RawTherapee は画像処理におけるパワフルな機能を提供し、写真によるクリエイティビティを支援します。

ゲーム

openSUSE Leap 15.4 には数多くの楽しいゲームが用意されています。アーケードゲームのほかロジックゲームやボードゲーム、戦略型ゲームやアクションゲームなど、さまざまなものがあります。また、子供向けのゲームやアドベンチャーゲームもあります。

0AD

0 A.D. (ゼロエーディー) はリアルタイム型の戦略ゲーム (RTS) で、古代の戦争をモチーフにしているものです。紀元前 500 年から紀元後 500 年くらいの範囲で、西洋文明の歴史を再現したり書き換えたりすることができる戦争/経済ゲームです。このゲームでは 3D の精細なグラフィックが提供されているほか、サウンドや柔軟なゲームエンジンも搭載されています。

Blinken

"Simon Says" という子供向けのゲームです。いわゆる記憶ゲームです。

FlightGear

FlightGear はオープンソースのフライトシミュレータです。さまざまなプラットフォームに対応し、世界中のさまざまな地域に在住しているボランティアによって支えられているプロジェクトです。プロジェクト全体のソースコードは GNU General Public License で公開されています。 Leap では 2020.3.x のバグ修正版を提供しています。

FreeOrion

FreeOrion はターンベースの宇宙帝国/銀河征服 (4X) ゲームです。 Master of Orion と呼ばれるゲームにヒントを得て作られたものですが、クローンやリメイクの類ではありません。

GCompris Educational Game

GCompris-Qt は 2 歳から 10 歳程度の子供向けに提供されている、さまざまなアクティビティを組み合わせた教育向けソフトウエアスイートです。アクティビティのうちのいくつかはゲーム指向のものですが、教育目的でも利用できます。現時点では GCompris は 100 種類以上のアクティビティを提供しています。新しいアクティビティを追加したり、アクティビティに独自のゲームスキームを実装させたりすることもできます。これは QtQuick 技術を利用した GCompris の書き換え版です。

SuperTuxKart

SuperTuxKart はフリーの 3D カートレーシングゲームです。主にリアルさよりも面白さを追求して作られています。 1 台の PC で最大 4 人まで参加できる仕組みで、お互いに競い合ったり、コンピュータを打ち負かしたりすることができます。風景には灯台やピラミッドが現れますし、砂漠を旅するようなこともできます。宇宙空間を飛んで星空を眺めることもできますし、砂浜の木陰で休むこともできます (他のカートに追い越されることになりますが :) ) 。ですが、バナナを食べたりしないでください。ボーリングのボールやプランジャー、バブルガムやケーキなどが投げつけられることがあります。他のカートとの競争だけでなく、グランプリの 1 つに参加したり、タイムトライアルに参加したり、友達とバトルモードで遊んだり、さまざまなことができます。

プログラム言語

Go

openSUSE Leap 15.4 では Go バージョン 1.17 が利用できます。 Go 1.17 には言語に対して 3 種類の小さな拡張が含まれています。

スライスから配列ポインタへの変換: []T 型の表現を *[N]T という配列ポインタ型に変換することができます。 a がこのような変換結果であった場合、対応するインデックス値は同じ要素型の範囲参照となります (0 <= i < N の場合 &a[i] == &s[i]) 。 len(s) が N より小さい場合、変換パニックが発生します。

unsafe.Add: unsafe.Add(ptr, len) は len に ptr を追加し、更新されたポインタ unsafe.Pointer(uintptr(ptr) + uintptr(len)) を返します。

unsafe.Slice: *T 型の表現 ptr に対して unsafe.Slice(ptr, len) を実行すると、 ptr で始まり len の長さを持つ []T 型のスライスを返します。

Perl

Perl 5.26.1 はユーザと開発者の活気に満ちたコミュニティにより、今もなお繁栄し続けています。本リリースにはいくつかのセキュリティ修正がバックポートされているほか、 5.26.1 リリースにはいくつかのバグ修正もあります。このほか、 Leap 15.4 では Perl Mojolicious 9.22 と PerlMagick 7.1 も提供されています。

PHP 7 および PHP 8

PHP は著名な汎用目的のスクリプティング言語で、特に Web 開発には最適な仕組みです。 Leap 15.4 では PHP 7.4.25 が提供されているほか、 PHP 8.1 も提供されています。

PHP 8.1 での性能関連の機能は下記の通りです:

   ARM64 (AArch64) 向けの JIT バックエンド
   継承キャッシュ (リクエストごとにクラスを再リンクする問題の回避)
   高速なクラス名解決 (小文字化とハッシュ参照の回避)
   timelib および ext/date の性能改善
   SPL ファイルシステムイテレータの改善
   シリアライズ/デシリアライズの最適化
   いくつかの内部関数の最適化 (get_declared_classes(), explode(), strtr(), strnatcmp(), dechex())
   JIT 改善および修正

Python

Leap では既定で Python 3.6.15 が提供されています。 Python 3.9, Python 3.10 も同時にインストールすることができます。

Python 3.9 は Python 2 との後方互換性レイヤが提供され、 Python のプロジェクトメンテナに対して Python 2 サポートの削除と Python 3.9 への移行を促すようになっています。また、このバージョンでは LL(1) ベースの代わりに PEG ベースの新しいパーサーを使用していて、古いパーサーとは性能面では同等程度であるものの、 PEG のフォーマリズムは LL(1) よりさらに柔軟になり、新しい言語機能となっています。これにより、 Python 3.10 およびそれ以降の柔軟性を取り入れることができています。

ast モジュールは新しいパーサーを使用するとともに、古いパーサーとして同じ AST を生成します。

Python 3.10 では古いパーサーが削除され、それに依存するすべての機能 (主に長い期間廃止予定となっていたパーサーモジュール) も削除される予定となっています。 Python 3.9 のみですが、コマンドラインスイッチ (-X oldparser) や環境変数 (PYTHONOLDPARSER=1) で古い LL(1) パーサーに切り替えることもできます。

新しい文法機能:

PEP 584: dict に対する union 演算子の追加
PEP 585: 標準コレクションに対する型ヒンティングジェネリクスの追加
PEP 614: デコレータに対する緩やかな文法制限

インタプリタの改善:

PEP 573: C 拡張型のメソッドからのモジュール状態への高速アクセス;
PEP 617: CPython が新しい PEG ベースのパーサーを使用するように;
多数の Python 内蔵型 (range, tuple, set, frozenset, list, dict) が PEP 590 の vectorcall を利用して高速化;
復活したオブジェクトでガーベージコレクションがブロックされないように; 多数の Python モジュール (_abc, audioop, _bz2, _codecs, _contextvars, _crypt, _functools, _json, _locale, math, operator, resource, time, _weakref) が PEP 489 で規定されるマルチフレーズ初期化を使用するように;
標準ライブラリモジュール (audioop, ast, grp, _hashlib, pwd, _posixsubprocess, random, select, struct, termios, zlib) が PEP 384 で規定される安定 ABI を使用するように

Ruby

Ruby 2.5 にはさまざまな機能追加や性能改善が行われています。主な変更は下記のとおりです:

分岐やメソッドのカバレッジ測定機能。分岐のカバレッジは、分岐のうちのどちらが実行済みで、どちらが未実行であるのかを示すものです。メソッドのカバレッジはどのメソッドが実行済みで、どちらが未実行であるのかを示すものです。これらの新機能を持つテストスイートを実行すると、分岐やメソッドのカバレッジ割合がより正確に算出されるようになります。
我々が最も愛するライブラリである pp.rb が自動的に読み込まれるようになりました。わざわざ require "pp" を記述する必要はありません。
Hash#slice [Feature #8499] および Hash#transform_keys [Feature #13583]
Struct.new ではキーワードパラメータを受け付けるクラスを作成できるようになりました [Feature #11925]
ブロックパラメータ (例: def foo(&b); bar(&b); end) によるブロック受け渡しが、 “Lazy Proc allocation” 技術のおかげで Ruby 2.4 比で 3 倍程度高速化されています [Feature #14045]
Mutex がより小さく、高速に書き換えられました [Feature #13517]

Rust

Rust は信頼できる効率的なソフトウエアを構築するためのプログラミング言語です。 Leap 15.4 では Rust 1.59 が提供されています。 Rust は今やポピュラーなシステムプログラミング言語となり、 Rust 1.59 ではインラインアセンブリに対応するようになりました。これにより、実行時に非常に低レベルの制御を必要とするような多くのアプリケーションを実現可能にし、マシン固有の命令を実行することもできるようになりました。また、 Rust コンパイラ内のバグによって、以前は受け入れられなかったコードも受け入れられるようになっています。たとえばパックされた構造体フィールドを安全なコード内に配置できるようになっています。これはほとんど発生するものではありませんが、プロジェクト内のコードにそのような枠組みが存在すると、非常に混乱する可能性があります。