PS3
SONY PlayStation 3 (PS3) は Cell マイクロプロセッサ 3.2GHz をベースにし、 256 メガバイトの GDDR-VRAM を搭載しています。プロセッサは PowerPC 互換になっています。 Cell プロセッサを製作した IBM, SONY, 東芝の共同作業により、 Linux カーネル 2.6.13 のバージョンから Cell プロセッサ向けのカーネルパッチを作成するようになりました。 SONY は特に PS3 向けのカーネルパッチとして 2.6.22 のバージョンに対して作成を行ない、同時に GNU ツールチェイン (gcc, binutils など) も作成しました。 |
バージョン: 10.3 & 11.x
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下記の情報は openSUSE 11.1 を対象として記述していますが、過去のバージョンに対してもおおよそ当てはまります。 |
ハードウエア要件
- ダウンロードを行なってメディアにコピーするためのコンピュータ
- Playstation3 と下記のもの:
- USB キーボードとマウス (無線キーボードとマウスのほうがよりよいです)
- 下記の記録メディアのうちのいずれか:
- USB 接続のフラッシュメモリまたはハードディスクドライブ
- CD-R, CD-RW, DVD-R, DVD+R, DVD-RW, DVD+RW, BD-R, BD-RE のうちいずれかのディスク
- PS3 にメモリーカードスロットが存在する場合: メモリースティック, SD メモリカード, コンパクトフラッシュのいずれか
注意: 他のシステムと同様、キーボードとマウスの両方があるのが望ましいです。両方ともあると様々な作業を手間なく行なうことができます。マウスだけでもインストールできますし、キーボードだけでもインストールは可能です。おそらくキーボードだけのほうが、まだ作業が簡単に行なえるでしょう。
ヒント: マウスだけしかお持ちでない場合は、文字を入力するのにヘルプのタブから文字をコピーすることができます。
ソフトウエア要件
それぞれ下記のものをダウンロードしてください。
- PowerPC 向け openSUSE インストールメディア
- openSUSE 11.1 システムブートローダ 注意: 完全インストールメディアにのみ含まれています (ライブ (Live) CD やネットワーク (Network) インストール向けのミニ CD には含まれていません)
以前のバージョン向けのシステムブートローダ:
手順
メディアの準備
PowerPC 版の openSUSE をダウンロードし、お使いの書き込みツールを使用して CD または DVD に書き込んでください。
PS3 の準備
注意: 作業を始める前に、お使いの PS3 のファームウエアを最新のものに更新しておくことをお勧めします。
ゲームの設定や途中状態、ダウンロードなどを保存しておくには下記のように作業を行なってください (最新のファームウエアでのみテストしてあります) 。 * 外付け (USB) のドライブを接続します * 設定 -> 本体設定 -> バックアップユーティリティ -> バックアップ を選択します
- 設定 -> 本体設定 -> フォーマットユーティリティ -> ハードディスクのフォーマット を選択します。 カスタム を選択してから、 2 つのパーティションを作成してください。一方は PS3 の通常使用のために、もう一方は openSUSE のために用意するものです。 なお、この作業により バックアップを採取していないデータは全て失われる ことに注意してください 。
* バックアップの書き戻し (同じメニューから行ないます) 注意: 完全バックアップ作業からの書き戻しの際に PS3 が表示するメッセージを読むと、 パーティションを設定する前のディスク状態に戻してしまうかのように読み取れますが、そうではありませんので問題はありません。 * 外付け (USB) のドライブを取り外します (このドライブには上記で準備した otheros.bld ファイルを保存していない場合を想定しています) 。
- otheros.bld ファイルを含むメディアを接続 (または挿入) します (下記テクニカルノートを参照)。ファイル構造はお使いの openSUSE インストールメディアと同じでなければなりませんが、どんなメディアでもかまいません。 USB メモリや USB ドライブを用意するのが最も簡単ですが、仕組み上はどんなものでも問題なく動作するはずです。
- 設定 -> 本体設定 -> 他のシステムのインストール を選択します。 PS3 は検出したインストーラを表示します。 otheros.bld ファイルが見つからない場合は、ファイル構造が誤っている可能性が考えられます。
- OK を押してインストーラを開始してください。
- あとは SONY インストーラの手順に従ってください。
- 他の OS を起動するには、 設定 > 本体設定 > 優先起動システム > 他のシステム を選んでください。この作業により、毎回の起動時に '他システムのブートローダ' が読み込まれるようになります。
ゲーム OS を起動するよう強制するには、電源ボタンを 5 秒以上押し続けてください。キーボードを使用して ps3-boot-game-os コマンドを実行することで PS3 ゲーム OS を起動し直すこともできます。また、 petitboot と呼ばれる起動画面からも "gameboot" を選択することで PS3 ゲーム OS に戻すことができます。 |
- 注意: 5 秒間電源ボタンを押し続けることで、 PS3 の多くの設定がリセットされます!
テクニカルノート
- PS3 の他システムの設定に際して、お使いのメディアは下記のフォルダ構造でなければなりません。また、それぞれのフォルダ名/ファイル名は半角英数 (全角ではありません) で設定してください。
PS3 |-otheros |-otheros.bld
- 様々な理由により、上記のファイル構造は openSUSE インストールメディアに用意できていません。ブートローダは単独でダウンロードし (ソフトウエア要件をご覧ください) 、 USB フラッシュメモリや USB ドライブのような別途のメディアからインストールしてください。
- PS3 のブートローダは openSUSE 内やブートローダ自身から更新することができます。下記のコマンドを実行してください
# ps3-flash-util -w <otheros.bld>
インストール
- PS3 に openSUSE のインストールメディアを挿入します
- 設定 > 本体設定 > 優先起動システム > 他のシステム を選択し、 他のシステム を起動します
- 起動後の画面で "インストール" 起動オプションを選択し、 Enter を押してください。
日本語環境固有の注意 起動直後は画面表示が英語表示になっています。 F2 キーを押して言語一覧を表示させ、日本語を選択すると日本語表示になります。 |
- グラフィカルなインストーラが起動します。画面上の手順に従ってインストールしてください。
注意: インストールの最中にオンラインリポジトリの有効化設定を行なうと、メモリ不足に陥ることがあります。オンラインリポジトリを使用したい場合は *インストールが完了してから* YaST を使用して追加してください。 openSUSE 11.1 の場合は ps3vram ドライバを使用して追加のスワップ領域を確保するため、この注意は当てはまりません (リポジトリを追加してかまいません)
インストール後の作業
ビデオ解像度の修正
openSUSE Linux を PS3 にインストールした直後の状態では既定の解像度が適用されるため、画面が小さく表示されてしまいます。また、 openSUSE 標準のツール (sax2) は使用できません。これを解決するには、 /etc/kboot.conf ファイルを編集してカーネルの起動パラメータを修正し、下記のように設定 (video=ps3fb:mode:X) を追加してください:
default=openSuSE timeout=20 openSuSE="/dev/ps3da5:/vmlinux initrd=/dev/ps3da5:/initrd quiet panic=42 sysrq=1 video=ps3fb:mode:X"
ここで 'X' には下記の表から選択した値を記入します:
YUV 60Hz | 1:480i | 2:480p | 3:720p | 4:1080i | 5:1080p |
YUV 50Hz | 6:576i | 7:576p | 8:720p | 9:1080i | 10:1080p |
RGB 60Hz | 33:480i | 34:480p | 35:720p | 36:1080i | 37:1080p |
RGB 50Hz | 38:576i | 39:576p | 40:720p | 41:1080i | 42:1080p |
VESA | 11:WXGA | 12:SXGA | 13:WUXGA |
たとえば YUV 60Hz 環境で 1080i を使用したい場合は、下記のように設定します:
openSuSE="/dev/ps3da5:/vmlinux initrd=/dev/ps3da5:/initrd quiet panic=42 sysrq=1 video=ps3fb:mode:4"
オーバースキャン (フルスクリーン) モードを使用する場合は、上記の値に 128 を足してください。
ディザ (中間色) 表示を有効にするには、上記の値に 2048 を足してください。
PS3 固有パッケージのインストール
openSUSE では ps3-utils パッケージが利用できます。下記のように入力してパッケージをインストールしてください
# zypper install ps3-utils
なお、 kernel-ps3 パッケージはインストールしてはいけません。これは PS3 の起動プロセスのうちの冒頭で使用する "ブートストラップ" カーネルです。
既知の問題
一般的な問題
- カーネルがお使いの画面での最適な解像度を検出しようとします。画面に何も表示されずに止まってしまい、お使いのモニタが周波数範囲外のような表示になった場合は、 '1' を押してください。このことで解像度が 720p に切り替わります。ただし kexec 経由でカーネルを起動しようとしている場合には動作しません。この場合にはカーネルのパラメータを手動で設定してください。 "video=ps3fb:mode:<X>" のように記述します。ここで <X> は使用したいビデオモードの値 (上記) です [0 <= X <= 42] 。
- インストール時に解像度が大きくならず、そのために画面下部に表示されるべきボタンが表示しきれない場合があります。ボタンが表示されない場合でも、 ALT キーを押しながら N キーを押すことで "次へ" のボタンを押すことができます。ユーザ作成画面でもこのキーの組み合わせを利用することができますが、既定のユーザ名とパスワードを入力しないと押せないことに注意してください。
- 何人かのユーザからの報告で、無線 LAN (802.11) の動作で問題が発生することが判明しています。注意: 新しく作成されたトラブルシューティングの章をご覧ください。この項目はまもなく削除されます。
- オーディオ (サウンド) 関連で問題が発生した場合 (音が聞こえないなど) は、オーディオデバイスが有効になっているかどうかを確認してください (alsamixer を使用します) 。なお、お使いのユーザアカウントがグループ "audio" に属していないとオーディオを出力することができませんので、 YaST を開いて "セキュリティとユーザ" -> "ユーザとグループの管理" からグループに属しているかどうか確認してください。
- PS3 は様々な種類の DVD メディアで気むずかしい動きをすることが判明しています。インストールの際にたまにフリーズ (画面が固まったまま全く動かない) してしまったり、 PS3 で DVD メディアが認識されない場合は、他のブランドの DVD メディアをご使用ください。
- openSUSE 11.0 をファームウエア 2.5 またはそれ以降で使用することはできなくなりました。 ps3vram ドライバがインストール時にクラッシュしてしまいます。既に openSUSE 11.0 をインストール済みの状態で、それを動作するように修正したい場合は、 /etc/init.d/boot.swap ファイル内にある enable_ps3_vram_swap 関数を削除する必要があります。
注意: openSUSE 11.1 では ps3vram ドライバを修正していますので、ファームウエア 2.5 またはそれ以降でも動作します!
さらなる問題解決
- Wiki ページに足りないものがありますか? - 追記してください!
- 何か質問がありますか? openSUSE メーリングリスト (日本語のもの) または openSUSE PowerPC メーリングリスト (英語のみ)
- バグを見つけましたか? - bugzilla (英語のみ) で報告してください
参考情報
PS3 向けの他のディストリビューション
- PS3 向け Fedora 5
- PS3 向け Ubuntu - 基本 Fedora インストールを使用して Ubuntu をインストールする手順
本ページにおける PS3, PlayStation, メモリースティックなどの商標はそれぞれの所有者に所有権が存在します。ご存じかとは思いますが。